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キスだけでも

「え……」 何故か行き成り絶句をしているカズヤ。 「嫌なの?」 「いや、だって、何でこんな時に言うんだ?」 自分だって変な時に変な事を言うくせに。 「だって、今言わないと、ずっと言えない気がするから」 「えっ……それは困る。じゃ……俺達、マジで恋人同士ってやつ?」 俺はしばらくカズヤをじっと見て言う。 「まあ、そういう事?」 「なんでそこを半疑問系にする?」 カズヤの反応が面白くて少しくすくす笑いそうになる。 「じゃ、じゃ・・Hもいいんだよね?」 「……それは、ちょっと待って」 「なんで?」 「だってさ。付き合うとか決めてすぐとか?良く考えてよ。俺、あんな事されそうになったのに」 「それは…そうだよね…ごめん……」 しゅんとなるカズヤ。 それがなんだか可愛く思えて笑い出しそうになるのを必死で抑えた。 それはともかくとして、とりあえず今は……。 「ちょっとね、どいて」 そう言って押しのけて、立ち上がるとそのまま今日の夕方カズヤが座っていたソファーへ近づいた。 そのソファーの背もたれと座面の隙間に手を入れてごそごそすると。手に何か触った。 「ああ、やっぱりあった。ほら、財布。この隙間って結構いろいろ入り込んじゃうんだよね」 そう言って財布を"はい"と言って渡した。 「あ。あった。ありがとう!」 すごく嬉しそうなカズヤを見ていると思わず。 「カズヤってなんか可愛いよね……」 と呟いてしまった。 「可愛い?」 「うん可愛いよ。キュートっていうか」 「それ、同じこと。つかそういうこと言われたの初めてかも」 カズヤをしばらく見つめる。 「……それはきっとカズヤの外見しか見ていないからかも」 「え?」 そう言ったきり黙ってしまったカズヤを 「財布見つかったし帰ってよね?」 追い出そうとした。けれど、そのまま再び抱きしめて来る。 「ごめん。もう、だめだ…。キスだけでもしたい」 "…んん……っ" 俺の返事を待たずにキスをした。カズヤのキスは嫌じゃない。むしろとても……とても心地良い感じなんだ。 だから、俺もカズヤの背中に手を回し逆に抱きしめ返した。そしたら、カズヤは目を見開いて驚いたみたいだ。 「そんなことするとだめだよ。ホントに俺。抑えられなくなっちゃうから」 そこはなんだかもう勢いで言ってしまう。 「……わかった」 するとカズヤはもっともっと吃驚する。 「それって、良いっていいってこと??」 「2度は言わないから」 「いいやーーいや、だって、、うれしいです」 なんかいきなり敬語になるんだろう? 「でも、俺そういうの良く分からないけど?いい?」 「それは、はじめてってことなんだよね?」 カズヤは何故かすごく嬉しそう。そんなに嬉しいものなんだろうか? 初めてなのは当たり前なんだけど、それをどう答えていいのかわからない。 だから、 「カズヤしかこんな気分にならなかったし」 そう言うしかなかった。 .

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