廣瀬さんのことを聞かれて困っていると 「親戚だ。」 と俺の代わりに廣瀬さんが答えてくれた。続けて 「俺は、自営業をやっていて少しの間春野に手伝ってもらっていたんだ。」と夏に説明していた。廣瀬さんは自分を"津島"だと名乗った。 全部嘘だ。 やっぱりヤクザだってことは言わない方がいいらしい。 廣瀬さんが帰って俺と夏だけになった。 「あがってく？」 「いや、今日はいいや。お前も無事っぽいしな」 夏はそう言ってカラッと笑った 「そっか、じゃあまた」 「おう」 夏も帰り俺は部屋に入った。 そういえば、さっき廣瀬さん俺を春野って呼んだな。 まあ、親戚って言ってんのに苗字とかだったら変だもんな。 「また、会えるかな。」 また会いたいな。 出来ればまた名前で呼んで欲しい。 この感情の正体を俺はまだ知らない。