27 / 134

第27話

「好きです。」 優しいとろけたような顔で菊池は俺にそういった。 驚いた。 いきなりそんなことを言われたことにもだが、何より菊池が俺に俺が菊池に抱いている感情と同じ感情を持っていたことに。 それから菊池は何か焦ったように俺の手を離し、今のことは忘れろと謝り出したが俺はそれを聞いている余裕はない。 俺と菊池は違いすぎる。 何より俺と居ると菊池をいつ危険な目に合わせてしまうかわからない。 だからこの気持ちは隠しておこうと思っていた。 でも、菊池の言葉を聞いて俺の決心は一瞬で崩れ落ちる。 「好きだ」 今度は菊池が驚いた顔で俺を見る。 するとだんだん緩んでくる。 「春野。」 「廣瀬さん」 俺達はどちらからともなく唇を重ねた。

ともだちにシェアしよう!