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第29話

菊池に名前のことを言われとっさに否定したが、実際は勝手に口から出ていた。 本当に無意識だった。 まだ少し不服そうな菊池をソファーに寝かせ俺は仕事に戻る。 すると、 「廣瀬さん、俺達って付き合ってるの?」 そんな事を聞いてくる菊池。 確に好きとは言ったがそれ以上のことは言っていない。 でも、俺は中途半端なことは苦手だし、これからもこいつを守りたい。 「そうなんじゃないか?」 そう答えると菊池はまた嬉しそうに笑いながらこちらを見てくる。 ぎこちなく通じあった思い。 それでも俺は菊池の笑った顔が見れるだけで幸せだった。 こんな幸せが続くといい。 俺は常に危険な立場の仕事をしている。いつ怪我したり最悪死ぬかもわからない。 でも、菊池を悲しませない。 そして、今はこの幸せに浸っていたい。

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