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第44話

「ねえ、今日って何日?」 最近は朝だけじゃなくて1日中寒い。 「23日」 普通の奴ならそれだけでもうすぐ冬だと感じるだろう。 「もうすぐ12月だな」 そう。あと、1週間もすれば12月だ。 12月と言われれば普通は皆クリスマスとかと想像するだろう。 けど、俺達は違う。 「あ!でもね、最近茉永なんか楽しそうだよね!」 「そうだな。」 市野 茉永。という奴はいつも楽しそうな奴だ。 いつも笑っていて、まあ、たまに仕事をサボるけど部下からも信頼されている。 だから、他の奴らにしてみればあいつが楽しそうなのはいつものことなんだろう。 あいつはいつも優しい。 あいつはいつも笑顔だ。 あいつはいつも 弱さを見せない。 この組の奴らなら大体があいつのその優しさに救われただろう。 「あいつの楽しさも優しさも笑顔もあいつの弱さなのかもしんねえな。」 成の言葉が幹部室に悲しく消えていった。 「俺達じゃ救ってあげられないのか?」 南の長い前髪から覗く瞳は何処か寂しそうに見えた。 救ってやれるなら救ってやりたい。 その気持ちは皆同じだ。

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