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第87話

蒼と2人ベッドで寝ていると体が揺さぶられて目を覚ました。時間を見ると午前6時。 どうやら例の抗争に動きがあったらしい。 抗争前に念のために家に1度帰って来て2人で休んでいる時に電話があった。 蒼はこれから危険な所に行く、そう考えると準備どころでは無い。 「春野、準備出来たか?」 「うん、携帯と財布位でいいんでしょ?」 「ああ、」 蒼車に乗り込み奏の病院に向かう。 運転している蒼はいつもよりどこか余裕がなさそうでそれが俺の不安を更に掻き立てた。 「春野くん、おはよう」 病院に着くと奏はいつも通りの優しい顔で迎えてくれた。 けど、俺はそんな事に気をやっていられるほど余裕もなくて、心の中はモヤモヤした不安が渦巻いている。 「春野、ここで待っててくれ。いってくる」 蒼は時間が無いのに俺の不安を読み取って俺を抱きしめてくれる。 「絶対帰って来て…。」 「ああ、終わったら一緒に家に帰ろう」 蒼の胸に顔を埋めて肺いっぱいにに蒼の匂いを吸い込む。 「蒼、大好き」 「俺も愛してる」 名残惜しい体温を離して蒼の背中を見送る、今俺はどんな顔をしてるんだろう。 そんな俺の手を奏はずっと握ってくれていた。

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