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第91話
季節は過ぎて外もだんだん暖かくなり始めようとしている。
と言ってもいざ外に出るとまだまだ寒いのだが。
「旅行でも行くか。」
それは蒼の何気ない一言だった。
「仕事は?」
「抗争の後始末も片付いたしやすみが取れそうなんだ。年末に休みが取れたらどっか行こうって話しただろ?」
そう言って蒼はおもむろにパソコンを開いた。
「休みは取れてもあんまり遠くには行けねえんだけど、どこにする?」
あんまり遠くなくて、観光ができる所。
ネットの情報を見て少しづつ場所を絞っていく。すると、1つの温泉街に目が止まった
「綺麗だね。」
夜の暗闇を立ち並ぶ旅館やホテル、お店の光が明るく照らしている。
「ここならそう離れてねえしここにするか?」
長期休暇が取れるわけではないから遠くには行けないけど蒼とならどこだっていい。
「楽しみだね」
俺がそう言うと蒼はああ、と言って俺の頭を撫でてくれる。
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