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第93話
間接照明の淡い光。激しく波打つお湯。重なり合う肌。お互い熱を持った視線が重なっては口付けによって離れる。どちらの汗かもわからない汗がまたどちらの体液かもわからないものがお湯に溶ける。ここが露天風呂である事などもう考えられない。春野の頭の中は蒼で埋め尽くされ蒼の頭の中も春野で埋め尽くされていた。まるで、この世界には自分達しかいないのではないかという感覚にも陥りそうになる。そんな甘い甘い時間。
「んっ…はぁん…ぅぅんッ」
「…ッ」
蒼の苦しそうな表情はどこか扇情的で艶かしいくてそんな表情を独り占め出来てると思うと優越感が湧く。
「そう…ッもうイクッ…!!」
「ああッ…出せよ…」
「そうッ…そうッ…あぁぁッ!!」
俺が出したのに少し遅れて俺の腹の中にじわっと熱いものが広がる。
後処理をし体を洗い直して部屋に戻ると外から帰ってきてざっと2時間半はたっていた。
行為が終わって理性が戻ると改めて恥ずかしくなる。幸いプライバシー管理で露天風呂は音が外に漏れない構造らしく安心した。
少し離れて敷かれている布団をくっつけてそれぞれの布団に入るがいつも同じ布団で寝ているからかどうも落ち着かない。そっと枕をくっつけて体を蒼の布団の方に寄せると蒼も察してくれたのか自分の枕を少し端に寄せ俺が入るスペースを作ってくれる。そのスペースにすっぽり入りいつもの様に自分達が寝やすい姿勢に自然となると安心して睡魔に襲われた。蒼の体温と匂いに包まれながら俺は今日も眠いについた。
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