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第108話

何となくマンションに近いからで選んだ学校で夏や秋、冬と一緒にバカやったり、トップになった。周りからはトップらしくないって言われるけど自分でもそう思う。 でも、この学校に入ったらかこそ得られたものもある。 あの時拉致られて無かったら蒼にも奏さんにも千尋や愁くんにも出会えなかった。この1年で俺の周りはいろいろ変わった。その全てが俺の宝物。 学校の帰り俺はジュエリーショップに入った。店に入ると女の店員さんが俺の前に来た。 「いらっしゃいませ。」 「あ、菊池です。」 名前を伝えると奥の個室に案内される。 「お待ちしておりました。菊池様」 「須藤さん。急に無理を言ってすみません。」 「いえいえ。お祖父様とお祖母様には大変お世話になりましたから。」 目の前にいる優しそうな人は須藤さん。このジュエリーショップの店長でじいちゃんとばあちゃんの友人でもある。 「お願いしていた物は出来ましたか?」 「はい。こちらに」 そう言って須藤さんが俺の前に出したのは2つのシルバーのリング。 我ながら馬鹿だと思う。 離れる不安からこんなもので蒼を縛ろうとしている。 「サイズはどうですか?」 「丁度いいです。ついでにこれを首から下げるチェーンが欲しいんですが何かありますか?」 「それでしたらこちらはどうでしょう。このチェーンは衝撃に強く切れにくいのでおすすめですが。」 「それじゃあそれを。」 「かしこまりました。」 須藤さんにお礼を言って店を出ると外はもう暗くなっていた。急いで家に帰ってきて夕飯を作る。 丁度作り終えた頃玄関の鍵が開く音がして蒼が帰ってきた。 2人で夜ご飯を食べいつもの様に蒼がお風呂に行こうとする。 「蒼!今日は一緒に入ってもいい?」 「ああ。」 浴槽の中、蒼の足の間に体を入れて蒼にもたれかかる。素肌が密着して少しドキドキする。蒼が俺のお腹に腕をまわしているせいで余計お互いがぴったりくっつき合う。 「春野、今日いいか?」 「ふふっ、俺も同じだこと思ってた。」

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