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第115話

空港に着いたといっても空港内は広い、春野がどこに居るのかも分からない。とりあえず探すが人の多さでなかなか見つけることが出来ない。そんな時若からメールがきた。 『2階ロビーにいるっぽいぞ』 目の前のエスカレーターを駆け上がりロビーに走る。 見つけた。 愁さんが春野に俺の存在を教えるのが見えた。ゆっくり振り向いた春野は俺を見ると大きく目を見開いた。 「春野…」 「…蒼、」 自分がとっている行動に頭が追いつかない。 俺は春野の手を引き歩き出した。 「え?…蒼!?」 俺の後ろで慌てる春野を無視して人気の少ないところに連れていく。 周りに人が居なくなり立ち止まった 「何でここに…?」 振り返ると後ろにいた春野は少し息をきらしている。 「若に手紙貰った。どうして俺に言わなかった?」 「いつかはちゃんと話を付けないと行けないからあっちに行こうと思ってたの。だから仕方ないって分かっててもやっぱり蒼と離れたくなくて…」 そう言って顔を伏せる春野の手を引き抱き寄せた。 「お前が決めた事に俺が口出しするつもりねえから止めねえけどよ、何も言わずに居なくなったりするな」 俺の背に弱々しく手を回し、頷いた春野の肩は小刻みに揺れて泣いているようだった。 「ちゃんと戻って来るんだろ?」 何処にかなんて言わなくても分かっているようで背に回された腕にギュッと力がはいった。 「指輪付けて待ってるよ。頑張ってこい」 「ありがとう…」 鼻を啜りながら顔を上げた春野にキスを1つ落とすと、どちらからともなくまた唇が重なった。

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