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第117話

最近やっと春野の居ない生活にも慣れた。いや、慣れては無いな。最初の頃はベットが広くて冷たく感じて眠れなかった。それがやっとまともに睡眠と呼べるものが取れるようになった気がする。 春野がアメリカに行って2年が経とうとしている。 手紙に書いてあった4年まであと2年。生活は慣れても心はまだ慣れないし慣れたらダメな気がする。 「最近の蒼は変。ちょっと前までは少し良くなったも思ったのにまた駄目になった。」 そうこの間南に言われた。 「そんなに仕事して、まるで何かから逃げてるみたい、俺達の仕事は体を壊したら元も子もないでしょ。」 確かにそうかもしれないと思う。 仕事をする事によって春野が居ない寂しさみたいなのから逃げているのかもしれない。離れてみて初めて、『菊池 春野』という存在が俺の中でどれだけ大きいものになっていたのかに気づいた。 春野の会うまでの俺は大切なものなんてなかった。俺を変えてくれたのは春野だ。

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