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第131話

「そういえば俺の指輪してくれてるんだね」 「まあな」 昨夜の事情の際に目に付いた首から下がる指輪。勿論俺も左手の薬指に同じものをしている。俺が気づいた時は首に下がっていた物はいつの間にかちゃんと指に付いていて、 「嬉しい」 「仕事の時は首から下げるようにしてる」 「え、じゃあずっと付けてくれてるの?」 「ああ」 指輪なんて仕事の時とか迷惑だろうから付けてないと思ってた。 まあ、付けてくれたらいいなと思ってチェーンも貰ったんだけど。 「お前から貰ったもんだしな。それにこれがあったから支えられた時もある。」 「それね、そんなに綺麗な物じゃないよ」 それは蒼が言うほど綺麗な意味の指輪じゃない 「その指輪が蒼の首輪になってくれればなって。」 「首輪?」 「うん。この指輪があれば蒼は俺を忘れないし、それにこの指輪があれば蒼が他の人に行っちゃわないかなって…。俺っていう存在を蒼に縛り付けておけるかなって。」 あー、引かれたかな… 「お前って本当に頭良いのか馬鹿なのか分かりにくい奴だな。これが無くても俺はお前から離れなかったけどこれがあった事でこの4年お前が居なくても頑張れたんだよ。」 ちょっと呆れた口調ででも顔は真剣に俺の頭を撫でながら言う蒼に身を預けた。 笑う蒼に自然と頬が緩む 「これからは必ずここに帰ってこい。どこに行ってもどんな奴と知り合ってもお前の帰る場所はここだ。」 「うん」 離れた4年は長くてでもそんな時間も蒼と一緒に歩むこれからの時間の為にあった時間なんだ。 「あと、早いうちにお前の友達にも会いにいけよ?」 「そうだった、俺も落ち着いたら仕事始めるし次の休みにでも会う約束する」 「そうしろ」 暖かい陽の光と大好きな人の暖かい体温に包まれながら暫く話していると俺達はいつの間にか眠ってしまっていた。

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