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第16話

「だって君、兄さんの運命の番なんだろう?」 「え?!そんな事は……」 「違うのかい?」  同じ1年としては二人共長身の部類に入る、ツバキも180センチ位はあるだろう、それでも目線はやや下にある。睨み付けるように見上げてくるツバキに対し、違うと即答出来ないのはミオも少なからずそれを信じて、信じたいと思うからだ。  だけど嘘を教える訳にはいかない。 「……運命の番なんかじゃない……あれは先輩が揶揄っているだけだ……」 「それで?例え運命の番じゃないとして、君は兄さんの一大事をどうしたいと思う?」 「……」 「何もする気がないのならここで降ろすよ、僕の勘違いだったようだからね」 「……」  予め合図していたのか、車は静かに止まった。  一大事、とは言うが親の決めた婚約者である。その間に割って入るというのは両家の関係を壊すという事に他ならない。  蛇村は言っていた。猫目との新薬の共同開発の事、抑制剤の開発には蛇村製薬が関わっている事。  二人の関係を壊せばどれだけの損害が出るのだろう。  それをサクラは望んでいるのか?  嫌ってはいても蛇村の事は受け入れているように見えた。 「僕は君の意見を聞いているんだ、余計な事は考えなくていい」  見透かすように言われ、それでもミオにはまだ迷いがある。  自分が行った所で迷惑なだけなのではないだろうか、と。 「……あの時、蛇村との間に入り兄を助けた君に感謝している……」 「え……」 「僕はただ見ているだけで何も出来なかった……」  悔しそうにツバキの顔が歪む。後悔しているとその表情から分かる、だからこそこの行動なのだろう。  後先考えず行動しているようにも思える、だけど後悔したくないから。それならミオも。 「……揶揄われているだけだとしても……オレが運命の番じゃないとしても……それでも……先輩を助けられるなら助けたい」 「よく言ってくれた、家の事は心配しなくていい、柏木、出してくれ」 「はい、坊っちゃま」  車が発進する、風景が後退していく様はもう後戻りが出来ないと示しているようでミオは緊張の為に体を固くした。  何が出来ると言うのだろうか?  分からないけれど、助けたいと思ったのは本心。  サクラへの気持ちは何なのかまだ分からない、ただあの人が悲しむのは見たくない。 「郊外のテーマパークに行っているようだ、昼には着くだろう」 「はい……」 「作戦は考えてある、これから話す事をよく聞いてくれ」 「はい」  ツバキの真剣な表情に、ミオは頷いた。

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