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第27話
自分の質問への答えを貰えていない事には気付いていたが、今回の騒動がサクラ達が計画したものだという事には驚いた。
それに、サクラの言葉を借りるなら婚約も解消されるだろう。あの執事が上手くやってくれるのを祈るばかりだ。
「あいつには悪い事をしたとは思うけどな……船酔いしたと言ってホテルの部屋に誘って、お前達が来るのを見計らいわざとベッドに倒れて気持ち悪いふりをしたのだからな……」
騙される形になったが、蛇村はそうとは知らずサクラを心配し介抱しようとしてくれたのだ。それを見たミオは押し倒していると勘違いして、大声を上げてしまった。
非難してしまったが、そうではなかったと知った今、ミオは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「……お、オレひどいこと言った……かな……」
正直よく覚えてはいない。怒りで頭の中が真っ白になり、兎に角この部屋からサクラを連れ出さなければと思い強く手を引き部屋を出たのだ。
「大丈夫だろう、きっとコテツがフォローしている」
「……」
何だか全てあの執事頼みになっているが、本当に大丈夫なのだろうか。そんな心配が顔に出ていたのだろう、サクラはもう一度大丈夫だと安心させるように笑った。
「ミオ」
狭いゴンドラの中、サクラが頭を下げ立ち上がると、ミオの隣に滑り込むようにして座った。
ぴたりとくっつくように座ってきたサクラに驚き、ミオは固まる。
「?!」
「もし、婚約が進んでもペットならばお前を手元に置いておけるんじゃないかと……側に……いられるんじゃないかと思ったんだ……今思えば馬鹿な事を言ったな……」
「……」
もう、何で?とは聞かなかった。
見上げてくるサクラの瞳が雄弁に語っている、はっきりと言葉に出さなくてもその想いが温もりと共に隣から流れ込んでくる。
「先輩……」
薄暗いゴンドラの中、遠目で見えるのは輝く外界、その仄かな明かりは二人の輪郭を浮き上がらせる。
サクラの想いと共に緊張感も伝わってくる。それは自分も同じだと、ミオは言いたい。
だけど、どうしても確認したい事がある。
記憶の彼方から呼び寄せたそれは懐かしく、おぼろだけどとてと愛おしいものだった。
「先輩は……あの時の……黒猫ちゃんなんですか……?」
黒猫ちゃん、その呼び名が可笑しくてサクラは笑ってしまった。
「やっと思い出したか……」
花が咲くような笑顔でサクラは笑った。
その顔を見た途端ミオは胸の中が熱くなり、衝動的にサクラを抱きしめていた。
「せんぱい……!」
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