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第37話

 空港の中に入るなり、困ったような口調でツバキがミオに告げた。 「どこにいるか分からないので手分けして探しましょう」 「え?!あ!GPSは?!」 「通信障害のようで、機能しません」 「えっ?!た、大変じゃないですか!!」 「犬塚君はあちらを、僕はこちらを探します、では!」 「あっ、はい!」  くるりと背を向けたツバキと同じようにミオも走り出す。  平日とはいえ空港内はそれなりに人がいる。走って探すが、周りにぶつからないようゆったりと走る。  だが気持ちは焦る。  何だかサクラに関しては走ってばかりだ。あの時と同じ。いや、初めて会った時も。だが、初めて会った時とは状況が違う、サクラはもう小さな庇護するべき子猫ではない。  速度が緩み、とうとうミオの足は止まった。 「……」  探して、会って……そして?  そんな疑問が浮かんでしまい、ミオは探すのを諦めようかと一瞬考えてしまう。  ダメだ。弱気になっているからそんな事を考えてしまうのだろう。頭を振り払い雑念を落とす。  ツバキからも後悔しないようにと言われたではないか。  足を動かしながら周囲を見渡す。空港だけあり、様々な人種の人達がいる、勿論獣人もだ。だからか、様々な匂いが空港内には漂っている。  その中から知った匂いはないか。集中しながら、探りながらゆったりだったミオの足取りは徐々に早足に変わり、最後は走り出していた。  会ったらどうしよう、何て思っていたけれど先に動いたのは体、本能の方だ。  甘くミオを誘う匂い、それは一つしか知らない。首輪を付けていても分かるミオだけが分かる香り。  それが何かは分からない。運命などと言う不確かなものより、自分の嗅覚の方が信じられる。 「先輩!」  匂いの先にいたのは、会いたかった相手。  猫目サクラは目を見開き驚いた顔をしたが、突進してくる忠犬の為に腕を広げた。  器用に人を避けながら、飛びつきたい衝動を堪えサクラの手前の数歩は走らず大股で近付くだけにする。 「なんだ、感動の再会じゃないのか?」  手を広げたままのサクラは優しい笑顔でミオを出迎えてくれた。堪らず抱き付く。だけど、力は加減して、潰さないように包み込むように、ミオは腕の中に愛しい人を閉じ込めた。 「先輩……」 「なんだ?」  琥珀の相貌が見上げてくる、会ったら何を伝えたかったか、何を伝えなければならないか分かっていた筈なのに、言葉は何も出てこない。 「……まぁいい……会いたかったよ……」 「…………はい!」  小さく白い手がミオの背中に回される。きっと尻尾が出ていたらブンブンと大振りしていることだろう、その自覚はある。  嬉しくて、嬉しくて、ただ会えるだけでこんなにも優しい気持ちになれるのかとミオは初めて知った。

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