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第38話

「あ!そうだ!連絡……見つかったって……あれ?」 「連絡?どうした?」 「……執事さん一緒なんですか……というか……あの人も……」 「ん?」  緩めた腕の中からサクラが背後を振り返る。そこには呆れた顔の蛇村と我が子を見つめるような眼差しのコテツが立っていた。 「一緒だが?そういえばお前は一人で来たのか?学校は?」 「えっと……」  お互いに質問をぶつけ合う。ミオもサクラもクエスチョンマークを頭上に掲げているのを見たコテツが、割って入ってくる。  ミオは腕を解きサクラを開放したが、それでもほぼ密着している位に距離は近い。 「ツバキ様が連れて来られたのですよ」 「そうなのか?」 「はい、それで……連絡と思ってたんですけど……」 「連絡は不要です」 「ですよね……もしかして……」 「そうですよ、あんな嘘によく騙されましたね、空港内のあちらこちらでスマホを使っている人がいるというのに」 「…………」  ミオも通信障害とはおかしいと思ったのだ。だけど、庶民が使っている物とは違う通信回線なのかもしれないし、ツバキにきっぱりと言われてしまったし急いでいた事もあり強く疑問視しなかったのだ。  コテツがサクラに掻い摘んで説明しているようで、聞いていく内に表情が呆れ最後には笑いだしてしまった。 「お前はツバキに押し切られがちだな」 「………」 「サクラ様、時間はあまりありませんよ、今回は本当に」 「分かっている、コテツ、ちょっと……」 「?」  サクラはミオから離れると、コテツと何やら話し込む。大丈夫かと心配になるが、話し合いは直ぐに終わった。 「ではお手短に、またお迎えに上がります」 「分かった」  黒スーツの執事は意味の飲み込めていない蛇村を促すように、背中を向けた。 「あ、あの!」 「……?」 「あの……この間は……すみませんでした……」 「……あぁ、私ではなく貴方に言っているようですよ」  コテツの隣に立つ蛇村は顔を歪めたが、この場から直ぐに立ち去るような真似はしなかった。話は聞いてくれるようだ。 「オレの勘違いで嫌な思いを……」 「過ぎた事だ、謝罪は受け入れる、それでいいだろう……」 「……すみません……」 「忠犬なだけあって律儀だな」 「……」 「痛い、小突くな」  蛇村の隣に立つコテツが肘で軽く小突く。 「大人げないと思っただけですよ」 「そんな事はないだろう、名誉毀損で訴えないだけいいと思ってほしい位だ」 「大袈裟な」 「……行くぞ、お前こそ大人げない態度をするな、主人を取られて寂しいのはどっちだ」 「喧しいですよ」  喧嘩する程仲がいい、のとは少し違うが二人の雰囲気は穏やかなものだ。初めて会った時より蛇村も柔和で人間味を感じる。  まさか気を遣ってくれるとは思わなかった。誤解していたのかもしれない。意外と良い人なのかも。 「ミオ」 「はい?」 「お前、蛇村は実は良い人なんじゃ、なんて思ってないだろうな」 「えっ?!」  心を読まれただろうか?という驚きで声を上げると、サクラは呆れた顔をしたが、直ぐに表情を改めた。 「……まぁ根は良い人なのかもしれないけどな、出来たらそうであって欲しい………いや、コテツなら大丈夫だな、何かあっても言い負かされる事も力負けする事もなさそうだしな……」 「良い人に越した事はないと思いますけど……」 「それはコテツが確かめる事だ」 「……そうですね」 「悪かったな……」 「え?」  ミオから一歩下がり、サクラは顔を上げ視線を合わせてきた。真摯な瞳、言葉の意味が分からずミオの心に不安が湧き上がる。

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