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第3話
ゲイかどうかは、同類はニオイで分かる。
圭吾が「そう」なのは最初に出会った時に分かった。
「今、恋人いるの?」
そう男性客に問われているのを、耳を澄ませてこっそりと聞く。
……なんで、店内恋愛禁止にしたかな…………
自問自答を繰り返す。
昔いたアルバイトが客とそう言った間柄になった。
そこまでは良かったのだが、そこにもう一人のアルバイトが割り込んだ事で事態は一変した…
あの時は……収拾が大変だった……と思わず眉間に皺が寄る。
今でも思い出して胃がキリっと痛む気がした。
三角関係に、更に客の奥さんが乱入してとうとう警察を呼ばなくてはいけない事態となった時、この店の中に恋愛を持ち込むな!と言うルールを作った。
もちろん、それは絶対的なルールではなかったが……
「この間フラれたばかりです」
にこっと笑って答えるから、客は勘違いするんだ。
「じゃあ じゃあさ!ここ終わったら……」
「ごめんなさーい。店の子口説くの禁止ですよ~」
客の言葉を遮って、圭吾の肩をするりと抱いてカウンターへと押しやる。
「えっ……」
客があからさまに顔をしかめたのは分かっていたけれど、鉄壁の笑顔で押し返す。
「ね?」
同意を求めるが顔を歪めたままの客に尚も
「ねっ!」
と力を込めて言うとやっとすごすごと引っ込んだ。
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