13 / 101
第12話
計都を部屋の前に待たせてから掃除の為に先に部屋へと入る。
合計十個のグラスを割った計都は、すっかりオレの家に居座る風だった。
「今日だけだからな」
「明日もなんてテンチョやさしーっ」
「不採用だからな」
「俺頑張って働くからー」
「出て行け」
話が通じる気がしなかった。
計都はすっかり寛げる服装に着替えてソファーへと陣取っている。
「えー。拾った動物は最後まで面倒見ようって言うでしょ?」
「動物は拾った覚えがない」
いや……これはもしかしたら鶏頭のフラミンゴか?
足をバタバタと振りまわりながらリモコンをいじるその姿を見ないように「おやすみ」と告げて自室へと入った。
計都を寝かすリビング部分だけしか片付ける事が出来なかったので、この部屋は散らかったままだった。散乱する脱ぎ散らかした服を跨ぎ、ベッドへと転がる。
時折聞こえるテレビと、それに応える笑い声。
久しぶりにこの部屋で感じる自分以外の人の気配に胸が締め上げられ、身を丸めてその苦しさから身を守る。
圭吾が居た頃は常にあったこの光景。
オレが壊した―――
抱え込んだ膝に涙を擦り付ける。
オレに泣く資格がないのは、自分が一番よくわかっている。
分かっていても、寂しいと思う、辛いと思う。
圭吾が痛みに耐えてくれていたように、オレも耐えるべきなのだろう……
テレビの笑い声が聞こえる。
ともだちにシェアしよう!

