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第19話
腹が一杯になったのか、計都はテーブルに突っ伏して幸せそうにうとうとしている。
「寝るならソファーに行け」
ん……と唸りながらも計都は動かない。
「オレは運ばないからな」
冷たくそう言い、オレはシャワーに向かう。
湯を溜めてのんびりすれば疲れも取れていいのだろうが、手早く終わらせて早く部屋に引っ込んでしまいたかった。
ざぁざぁと流れて行くシャワーを浴びながら、シャンプーがもう切れそうだったのを思い出す、また買い物に行った際に買わないといけないと考えつつざっと汗を流しただけで浴室を出た。
「おい、シャワー行くなら行ってこい」
ミネラルウォーターを取り出して椅子に座り、とろとろと微睡む計都に顎をしゃくってみせると、計都はその今の状態が気持ちいいのか首を横に振った。
「じゃあそこで寝ずにソファーに行け」
「テンチョ……テーンチョ……連れてってくださいよぅ」
「どこまで図々しいんだ」
そう言うも、しょうがないなと言う思いもむくりと起き上がる。
仕方なしにその傍らに行き、腕を掴んだ。
「ぃたっ」
「あ、悪い」
捻るように掴み上げてしまったのか、きゅっと計都の眉間に皺が寄る。腕は掴まずに脇に手を差し込んで無理矢理立たせた。
「ふぇ だっこ……」
「ふざけるな」
けちぃ とその口から微かな言葉が漏れ、戯れるようにその細い腕が首に回される。
「テンチョ」
「……はな……」
すいっと伸び上がるように擦り寄り、下半身をオレの腰へと擦り付ける。
その卑猥な動きにくらりと眩暈が起きた。
「昨日してないから勃っちゃった」
唇が耳元に寄り、知らされた通り擦り付けられるソコは膨らみを持っている。
耳元から「しよ」と小さく強請る響きが聞こえ、擦り付ける動きが微妙に変化した。
「あ……ん 」
体がくねり、計都の腰が怪しく動く。
淫らなその動きに体がふらりと傾いだ。
「ぁたっ!!」
ばたばたっと床にもつれるように倒れ込むと、その華奢な体を組み敷く形となった。
シャワーの湿り気の残る肌に指が這う、下から見上げる猫の目に……
恐怖が沸いた。
振り上げた拳が当たる瞬間、計都ははっと身を竦ませていた。
それは、繰り返し見続けた、圭吾の姿と重なって……
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