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第23話
仕方なくオレのベッドに寝かし、その額を触る。
体温が高いような気がするので、氷を取りに行こうとしたら服の裾を引っ張られた。
「テンチョ」
「 あぁ、起きたのか」
「……俺、どうしてました?ビョーイン、行ってましたよね?」
自分の置かれた状況が分からないのか、その目はいつになく真剣で、必死に情報を得ようと目を動かしている。
「ああ。病院で手当てしてもらった。手は折れてたそうだ」
「ぇ!?いつからだろー痛いと思った―!……でも俺、金ないんですケド……」
恐々とこちらを見る計都に緩く首を振る。
「治療費は心配するな。…………治るまで、ここにいていい」
「マジで!?テンチョやっさしぃ!」
そう喜ぶが、その腕が折れる原因を作ったのはオレなんだと、計都は気付いてるんだろうか?
ウキウキとベッドの中で体勢を整える計都の姿からは、その事に思い至っている様子はない。このまま黙っていようかとも思ったが、むくりと起きた良心に促されるように口を開く。
「オレが……怪我させたからな。責任は取る」
「へ?」
きょとんと動きを止め、計都は首をひねる。
「んー……? じゃあそう言う事で!」
兄貴との会話以上に噛み合わない気がして、額を押さえながらキッチンへと向かった。
咄嗟に振り上げた。
ただそれだけで人に負わせるには酷い怪我をさせてしまった。
暴力と、そう意思があって行った事でない。
それだけに、思わず手を出してしまった自分が情けなくもあり、怖くもあった。
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