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第28話
シーツを替え、そこに眠っているのか気を失ったのかよくわからない状態の計都を転がす。
ピンクの髪から覗く顔は穏やかで……
淫らさの欠片も見つける事は出来ない。
「………」
かろうじての理性で一線は踏みとどまったが……しでかしてしまったのは性欲処理にしては大げさすぎる。
やってしまったと呻くも後の祭りで。
圭吾がいなくなってもうそう言ったことはできる気がしなかったのに、
「安っぽい物だな…」
圭吾に出て行けと言った時、もう恋愛や情事からは遠ざかろうと決めていたのに、自分の心がこれほど簡単に瓦解するなんて思ってもみなかった。
体に残る燻る熱に、先程までの行為を思い出す。
自分に押さえつけられ、シーツの上で喘ぐ計都の姿が脳裏に過ぎる。
「……っくそ」
目が覚めた後どう言う顔をしたらいいのかわからず、頭を痛めながらその日は眠りについた。
「おっはようでございます!」
ばぁんと勢いよく開けられたドアの音で飛び起きる。
続いて聞こえてきた変な挨拶に眉間に皺を寄せながら、
「やり直し」
そう告げる。
「ええ!? ぐっもーに?」
「ふざけるな」
「……オハヨウゴザイマス……」
「おはよう」
朝からテンションの高い計都を見ながら、ソファーで寝たためにあちこちの痛む体を起こす。
ちらりと計都を盗み見てみるが、昨夜の事など覚えてもないような顔つきでさっそくテレビのチャンネルを回している。
「熱は?枕元に体温計置いてあっただろ」
「えー?もうないかなぁ」
その言い方は計ってないんだろう。
顔色を見ても極端に白くも赤くもないから、問題はないのかもしれない。
「…………ジャムは何でも食えるのか?」
「へ?うん、たぶん」
そう返事をするものの視線はテレビに向いたままだった。
もしかしたら質問すらようわからないままに返事をしているのかもしれないと思ったが、食べられないと喚いたところで自業自得だとパンを焼き始めた。
その間にコーヒーを淹れ、昨日の残りのポテトサラダを出す。卵で何か一品とも思ったが、面倒くささが勝った。
ちょうどチンと鳴ったトースターからパンを取り出してラズベリーのジャムを塗って皿に置く。
「食べるぞ」
「ふぇ?」
「食事だ」
「うん……」
そう返事をするも、体は向いているが目はテレビのドラマに夢中だった。
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