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第37話
体中が痛み、背骨がごきりと鳴る。
「…………どけ」
人を敷布団にしているフラミンゴを床に突き落とすと、奇妙な悲鳴が漏れた。
「ひゃぐぁっ」
「それ、悲鳴か?」
「いーったたた……」
したたかに打ったらしい尻を擦り、計都は体を起こして抗議の目でこちらを見上げる。
涙目は、寝起きだからか本当に打った尻が痛いのか……
「テンチョひどーいっ!!」
「人を布団代わりにするからだろ」
軽く体を動かすと、節々がこきこきと音を出す。
「ったく、体中が……っ」
忌々しそうに言うが、計都はそんなに事まったく気付かない様子でオレに絡みついて来た。
「じゃあ、マッサージしたげよっか?」
「断る」
「じゃあ性感マ…ぶっ!」
計都の全開の額にばちんとデコピンをくれてやると、その場に声もなく蹲ってしまう。
だからと言ってそれに構えばずるずると流されて行きそうで。
ぴーぴーと文句を言う計都を置いてキッチンに立つ。
「人参出すからな!食べろよ」
事前にそう宣言すると、計都の顔がくしゃりと歪む。
先程まで文句を言っていたのに、今度は泣きそうだ。
「ココアつけてやるから」
そう言うと、泣きそうだった顔がぱぁっと笑顔になり、しっぽでも振りそうな勢いで食卓へと飛んできた。
「テレビ!テレビつけていい?」
「ちゃんと飯を食うならな」
「はぁい」
どこの子供かと言いたくなる返事に苦笑する。
ころころと変わるその表情は……悪くない。
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