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第44話

 今回は守れたらしい愚息を収め直し、目を回している計都を覗き込んだ。 「おはよう」 「 ぅ~~……テンチョ。何するんですかっ」 「おはよう」 「……オハヨウゴザイマス」  涙目でこちらを睨み上げる計都に襟を掴んで引き上げ、ベッドの上に寝かせ直す。 「まだ早いだろ?もう少し寝てろ」 「おはようって言ったのに」  ぶーと文句を言う計都の頬を手の甲で撫でてから、リビングのソファーへと向かおうとした。  くいっ と服の裾が引かれる。 「……なんだ?」 「おっきした」 「……」  ティッシュ箱を渡して去ろうとするが、手は離してもらえない。 「   なんだ?」 「テンチョがシテ?」  毎度のことながら人質を指差されてしまえば反論も出来ない。 「ん ふ………っぅあンっ」    喉まで深く咥え込み、ころりとした感触の袋を揉みながらきゅっと吸ってやると、呆気なく計都は果てた。  口の中の精液をティッシュに吐き出し、計都の服を直して横たえてやる。 「え……テンチョは?」  落ち着けた枕から頭を上げ、計都はオレの服を掴みふるふると首を振る。 「おやすみ」 「シないの?」 「おやすみ」  出来るだけ固い声で繰り返し、何事か言う声に耳を塞いで扉を閉めた。  今のオレに出来るのはこれだけだ。  同情で餌をやっても、猫は期待するだけだ。  期待して、裏切られて……  悲しむだけだ

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