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第95話

 ひぃ と小さな悲鳴と、オレを退かせようとする弱弱しい腕。  白い肌が真っ赤になって小刻みに震えて、泣きじゃくりながら譫言のように同じ言葉を繰り返している。 「  ひ、も、いい。 も、いいか  ら」  唾液でドロドロになった穴はもう柔らかくて、ひくりと締め付けてくるの見ると指だけじゃもう満足できないのがよくわかる。 「駄目。もっと解してから」 「 っっ!!」  ぽろぽろと涙を零して、小さく謝り出した計都に、さすがにやりすぎたかと頭を撫でた。  くしゃくしゃと髪を掻き混ぜて口づけてやると、素直に反応を返してくるのがたまらなく嬉しい。  とろりと快楽で濁った眼でオレだけを見てくれる幸せさに、胸が温かくなるのが分かる。   こちらを見てもらえるのも、  自分だけを見てもらえるのも、  こんなに幸せなことだなんて……  計都も同じ気持ちでいてくれたらと、細やかに願う。  「 キョ ちゃん、ちょーだい」  髪を引っ張られて懇願され、ゆっくりと待ち望んでいるソコに押しつけると、こらえきれなかったのか計都が小さく悲鳴を上げた。  飛び散った白濁の液の、鈍い光の反射に笑みが浮かぶ。 「わら わないでぇ   う、うぅ……テンチョが焦らすから  」 「そうだな」  肯定してやると、それはそれで恥ずかしかったのか、もじもじと顔を伏せてしまった。 「あと店長呼びに戻ってる」 「うー……   キョウちゃん」 「なんだ?」 「キョウちゃん」  うん?と傾げた頭を引き寄せられて、耳元で「だぁいすき」と告げられた。   襟足についつけてしまったキスマークは隠しようがなくて、壱がじっとりとした目で睨みつけてくる。 「いや、ま、いいんですけど。わかりやすくて」 「分かりやすいの大事だよね」  そう言ってはみるが、冷たい視線は変わらない。 「んで、椅子をどうするんですか?」 「え   ダメかな」  計都の座る椅子をカウンター内にしてみたが、壱から苦情が来て仕方なく元の位置に戻した。

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