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第22話 久しぶりのデート【柏木】
「ふぅう・・・・。」身体中で愛を伝え合った後、満足気な溜息をついて気持ち良さそうに目を細め、自分に擦り寄ってくる草薙を、柏木は嬉しそうに眺めている。
「ふふ、久しぶりだもんな。こうやって菫 とイチャイチャするの。」その唇に軽いキスを落としながら、柏木は、悪戯っぽく微笑んだ。
「どうだった? 初のラブホテルは」
「んー。入る時は、『人に見られたら、どうしよう』って、すごくドキドキして、恥ずかしかったよ。でも、入ってみたら、ある意味、実用的だなって思った。お風呂広いし、ベッドは大きいし。
防音だから、『こんなに喘いだら、人に聞こえるんじゃないか』とか、心配しなくていいから、集中できるしね。
それにしても、壁が鏡張りって、普通なの? 僕的には微妙だけど。世間の人は、自分たちのあられもない恰好を見て興奮するのかなぁ?」
明け透けな感想を天真爛漫 にぶっ放す草薙に、柏木の方が、思わず頬を赤らめた。
「そ、そっか。わかった。今度は、鏡張りじゃないとこ、調べとく」
(音漏れを気にせず喘げると、菫はエッチに集中できるのか・・・。まぁ、確かに、菫って、夢中になり始めると、けっこう声がでかいんだよな・・・。)
「『部活の後、着替えて出かけるから、私服持って来い』とか言い出すから、どこに行くのかと思った。先に教えててくれたら、もうちょっと、心と身体の準備ができたのに。」草薙は、口を尖らせ、久しぶりに会えた恋人に、裸のまま抱き付いて甘える。
そのこめかみに、柏木は、チュッとキスをして、優しく髪を梳いた。「うん、今日のコンセプトは、不意打ちプレイだったからね。事前に予告しとくのと、また違う感じしない?」
去年の八月、吹奏楽コンクール県大会の夜に、二人は想いを通じ合わせた。
草薙にとって、柏木は初めての恋人だ。
同性同士ということもあり、ゆっくりと関係を育み、二人は、今年に入って間もない頃、初めて肌を重ねていた。
「菫の肌って、すべすべ。赤ちゃんみたいだ」柏木は、少し気怠 げに目をトロンとさせている恋人に、再び欲情し、意図をもって、その感じやすい背中を愛撫した。
「んん・・・っ。やだ、感じちゃう・・・。また、したくなっちゃうよ・・・。」無邪気な恋人は、素直に反応し、甘い声をあげて、その美しい背中をしならせた。
草薙を『その気』にさせることに成功し、柏木はほくそ笑んだ。
去年は、同じ高校の先輩後輩として、毎日何度も顔を合わせ、ぴったりくっ付いていた二人だが、今は大学生と高校生になり、以前ほど会えなくて寂しいのは、柏木も一緒だった。せっかくの逢瀬の時間は、思う存分、彼を愛したい。
横向きに寝ている草薙を、背後から抱き竦め、耳や首筋を唇と舌で愛撫し、胸の頂を摘まむと、「ああっ」と、切なげな喘ぎ声を上げた。あっという間にそこは固く尖ってくる。そっと下腹部に手を伸ばすと、草薙の中心は、既に再び反応していた。
「・・・また、勃っちゃった。欲しがりみたいで、恥ずかしい」と、顔を伏せる草薙に、「嬉しいよ。俺も、もう菫が欲しくなってるし。ほら」柏木は、草薙の腰のあたりに、屹立した彼自身を触れた。
クルリと、自分の意志で振り返った草薙は、柏木を仰向けに転がすと、挑発するような目を向け、その柔らかな巻き毛を揺らしながら、柏木の胸に吸い付いた。
「す、菫?! ・・・くっ、はぁっ」柏木は、草薙からの想定外の巧みな愛撫に不意を突かれ、脱力した。巻き毛が、ふさふさと、柏木の胸やお腹を擽って、堪らなく気持ちいい。
顔立ちこそ愛らしいとは言え、草薙は、身長も体重も、柏木と殆ど変わらない。油断すれば、幾ら柏木でも、抑え込まれてしまう。
草薙は、そのつぶらな瞳を妖しく光らせ、柏木の身体を、乳首から、次第に下へと、舐め下ろしていく。柏木に見せつけるように、赤い舌を、チロチロと動かしている。
しかも、このまま彼の敏感な先端まで舐めてくれるのかと思いきや、臍まで到達した後、そこには触れず、竿の部分を、下からゆっくり裏筋に沿って舐め上げ、直前で寸止めしてくる。
「・・・菫、お願い。先っぽまで舐めて。ああぁっ。そんなに焦らされたら、俺、堪んない」柏木は、快感と、もどかしさで呻いた。
白い喉を仰け反らせて喘ぐ柏木の姿に、満足そうに笑みを浮かべた草薙は、恋人の要望に応えることにした。既に先走りで滑っている先端を、すぼめた口で吸い込むように、口内に収め、舌を絡めた。
「ふふ、圭先輩、すごくセクシーで色っぽい。ねぇ、気持ちいい?」
柏木は、既に絶頂に近づきつつある自分自身を制御するのに必死で、無言でコクコク頷いた。
(菫のやつ・・・。学習能力がすごいんだよな。ここんとこ、俺が、焦らしてたから、早速反撃して来たのか。俺が菫にしてあげることは、大体、すぐにマスターして俺に仕掛けてくるから、油断したら、あっという間にイカされそうだ・・・。)
「ねぇ・・・、菫・・・。このままだと、俺だけ一人でイッちゃう。俺にもさせてよ。せっかくだから、二人で気持ちよくなりたい。お願い。」
柏木は、必死で猫なで声を出し、草薙に甘えるように訴えた。
滅多に動揺したり慌てたりするところを人に見せない柏木が、自分の舌技に降伏したことで、草薙は満足し、ニッコリ笑って、口内から、柏木自身を解放した。
(すっかり、小悪魔に育っちゃって・・・。育てたの、誰だよ? ・・・って、俺じゃん。だけど、ただやられっぱなしと思うなよ! この後、キャンキャン啼かせて、よがらせてやるからな・・・!)
柏木は、男としての雪辱を内心決意しつつ、おすまし顔をしている可愛い恋人の、可愛いお尻に手を伸ばした。
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