5 / 62

第5話(しずく)

げし、と蹴られて目を覚ます 『な、なに!』 「おう、おはよう」 『お、おはようございまふ、』 「いつまで寝てんの?学校は?」 『あ、い、いかなきゃ、』 と、起き上がった時だ じゅ、わ、とお尻の下が 湿っぽい感じがして 下を見る なに? と、布団をめくってみる 「漏らした?」 『え、?』 もらした、 な、何を? 「あ、ほら、横漏れしてんだろ」 と、脚でおれのことをごろ、と転がすから 何かと思うと 「布団までは行ってないか」 『え?え?』 グレーのスウェットの、 おしりの所 ちょっと濡れて黒くなってる 『え?なんで?』 「漏らしちゃったんでしょ」 『え?おれが?』 「言ったじゃん。初仕事のあと漏らす子多いって。まぁ気にしなくていいよ」 と、祈織さんはキッチンの方に行ってしまう そういえば、夢を見た 大学で、もらしちゃう、夢 『い、いおりさん』 まって、と起き上がって 祈織さんを追いかける 「着替えたら?」 『えっと、』 「ねぼけてんの?」 寝ぼけてるのかな、 混乱してる はぁ、と 祈織さんはため息をして タバコを口にくわえた 電子タバコだ、 『な、なに』 「着替えさせて欲しいの?」 『えっと、』 と、タバコを咥えたままおれの目の前にしゃがんで 「ほら、」 と、おれのスウェットを下ろした 『ふえ、』 パンパンに、膨らんだ おむつが祈織さんの見られてしまう 「すごい出てんじゃん」 と、わらった 『だって、』 「漏らさないんじゃなかったの」 『えっと、』 「たっぷたぷじゃん」 と、言われて恥ずかしくなってしまう ようやく、 ちゃんと目が覚めてきて今の状態がわかってしまう 『うえぇえん、』 「なに、恥ずかしいの?」 『は、はずかしい、』 「ふーん、」 と、興味無さそうに 祈織さんは言って ビリビリと、横を破る そして、左右ともに破られると ぼて、と地面に落っこちたおむつ 『ひえ、』 はずかしい、 おしっこの匂いがふわぁと広がってしまう そして、素肌が外気に晒されたから すう、と空気がおれの股間に触れる 『あ、みえちゃう、』 見られちゃう、とスウェットの上を引っ張って隠そうとしたけど 手を抑えられて 「ふっ」 と、祈織さんがおれのちんこに息を拭きかけた 『ひえっ!』 そして、 ゆっくりと口角をあげにこっと笑い 「早くシャワー浴びといで」 と、おれから外したおむつを袋に入れてゴミ箱に捨てながら祈織さんは言った 『ん、う、うん』 なんで、息、ふきかけたんだろ、 ◇◇ お風呂から出ると 祈織さんは ソファに座ってニュースを見ていた 『いおりさん、』 「ん?なに」 『がっこういくのに、ぱんつ、ない』 「おむつ履いてけばいいじゃん」 『やだよ!』 「なんで」 『ばれたらどうすんだよ!』 「ばれねえばれねえ、あ、今日はいっぱい水分取って我慢せずにトイレ行けよ」 『なんで?』 「昨日たくさん我慢したでしょ?」 『うん』 「膀胱炎とかならないように、今日たくさん出しとけってこと」 『ふーん?』 そうなんだ、 それが正しいのか知らないけど 祈織さんって詳しいのかな 『祈織さんって、こういうお仕事してるって事はおもらし好きなの?』 「べつに」 『じゃあなんでこの仕事してんの?』 「昔、俺も金無かったから。割り良いし」 『祈織さんの仕事って、送り迎えとか?』 「今はなー。後は派遣先管理とか色々」 『ふーん』 上の方の人なんだなって思いながら歯を磨き始める 『ん?』 と、ある事に気付いて 祈織さんのいるリビングにもどる 『ひまはってふはひわ、ほらふぃへはの?』 「何言ってるかわかんないから歯磨き終わってからこい」 と、怒られて 急いで歯を磨いて 口をゆすぎリビングに戻る 『今はって事は昔は漏らしてたの!?』 と、さっき聞いた事をもう一度きく 「……まぁ、そうだけど」 と、祈織さんは俺のことを見ずに答えた こんな、かっこいいお兄さんが、 おもらししてたなんて… そ、それはたしかに需要あるかも、 おもらし興味無い俺でも見てみたいもん、そんなの 『やってみて!』 「は!?やだよ!はやく学校行けよ!」 『今日3限目からなんだもん!』 「あっそ」 と、祈織さんは 俺のことを無視してキッチンにむかった 『ねええ、おればっかり見られてフェアじゃない』 「勝手に漏らしたんだろ、お前が」 と、コップに入れた麦茶をくれるから それを一気に飲んでから祈織さんの後をついて歩く 「何時に家出るの」 『11時くらい』 「そしたら10時過ぎぐらいにハウスキーパーの人来るから窓も拭くように言っといて」 『はうすきーぱー』 お金持ちな響きだ 「あとしずくが汚したスウェット、洗ってもらうならちゃんと伝えときな」 『じ、自分でちゃんと予洗したし!』 「あっそ」 と、後ろをついて歩いていると 祈織さんはスーツをクローゼットから取り出す 「なに、着替え見たいの?」 『ち、ちがう!』 と、すぐに背中を向けると 後ろで祈織さんが着替えている音がする 『祈織さん、もう仕事いくの?』 「もうすぐな」 『朝ごはんは?』 「食わないけど」 『なんで、』 「食わない派」 『ふーん』 「腹減ったなら冷蔵庫の適当に食っていいよ」 と、言われて冷蔵庫の中を見るけど お酒とゼリー飲料しか無かった 『祈織さんって料理しないの?』 「しない」 『おれが、つくろっか?唯一できること』 「ふーん、作れんだ」 『うん。住ませてもらってるお礼』 「じゃあ夕飯から作って」 『うん!』 そうと決まれば 今日は帰りにスーパー寄って帰ろ 『祈織さん、好きな食べ物ある?』 「えー、サブ〇ェイ」 『……店名……』 ゆうはん、どうしよ……

ともだちにシェアしよう!