40 / 62
第40話(しずく)
朝方、
祈織さんが寝室から出て来たのに気付いて目を覚まして
祈織さんの様子がおかしいと思った
寝たふりしたけど…
下半身裸だったし
祈織さんのお部屋のベッド
シーツ敷いてなかったから
きっとおねしょとかしちゃったんだろうなって思ったけど、祈織さんは恥ずかしがるから言わないでおいた
そして、二度寝した祈織さん
おれはそっとベッドから抜け出して
急いで学校にむかった
「おっせーじゃん、つむつむ」
『んー、』
と、ギリギリに教室に入ると
友人くんが既に来ていて
ギリギリすぎたおれに文句をいってくる
『おれさー、』
「なに、」
『祈織さんのこと好きなんだけど』
「おー、」
『どうやら振られてるようなんだよね』
「ふーん」
『でも、祈織さんに好きになってもらえるまで気長に待つって言ったら許してくれてるからまだ諦めなくていいよね?』
「いや、俺からしたら諦めてくれた方がいいけど」
『なんで?』
「あれ?お前忘れてる?俺がお前に告白した事」
『………あ』
やべ
忘れてた。
すっかり忘れてた
『いやー、うん』
「うんじゃねえよ。俺の告白無視しといてそんな相談するってどんな神経してんの」
『…ごめん』
「まあいいけど」
いや、いいのか?
『お前は、付き合ったら何したいの?』
「付き合ったら?そーだな、…お前を悲しませない」
『…は、え?』
「いや、当たり前だろ。付き合ってんだ。相手を悲しませる事もしねえし、誰よりも幸せにしてやりてえとおもうじゃん?普通」
『…すっげえ恥ずかしいセリフだけど』
そっか、でも
そういう事かもしれない
えろいことしたいとか
独り占めしたいとか
おれだけのためで
『お前、大人なんだね』
「普通だろ、それぐらい。ほれた?」
『いや、まあ…まぁすげえなあって』
「そろそろ惚れてもいいけど」
『うーん、ちょっと考えとく』
「今度こそ忘れんなよ」
『うん』
そうだよなあ、
おれだって祈織さんに告白スルーされた時は
もやもやしてたけどおれだって同じ事してんじゃん
悪いことしたな…
『えっと、考えとくって言ったけどさ…おれ祈織さんが好きで』
「知ってるって。だからそっちが決着着いてから考えればいいから」
『えっと、ありがとう』
こいつ、すっげえ大人なんだな
すげえなぁ。おれも
おれが
じゃなくて
好きな人の事を考えられるようにならなきゃなあ
「うん。まぁ、とりあえず…明後日空いてる?」
『明後日?なんで?まぁ空いてるけど』
「そしたら依頼入れようかな。今度はお片付けオプション付きで」
『…………は?』
「いや、前言ったろ?この前は新規だから基本プランしか無理だったけど次はお片付けオプションも付けるって」
『んんん?あれえええ?』
「なんだよ」
『いや、おれちょっと感動してたのになにそれ、なんなの』
「いや。普通に予約しようかと」
『お前なんなんだよ…やだし。予約すんなし』
「なんでよ。じゃあなに、プライベートでやってくれんの」
『なにおそろしいこと言ってんだよ…』
「だから予約するって」
『いやいやいやいや、おれそろそろ仕事やめたいって思ってるし』
「じゃあ尚更」
『ばかじゃねえの』
「正式に依頼するって言ってんだからいいだろ?」
『やだって』
「まぁいくらお前が嫌がっても予約するけどな」
『予約してもぜってえ漏らさねえもん』
こいつの予約だってわかってたら事前にトイレ行っとくし
『おれ、そろそろバイトも辞めようと思ってるし』
「なんで?いいじゃん。稼げるんでしょ?」
『んんん、祈織さんに聞いたんだけど、あんまり漏らしすぎると治すの大変になるらしいし』
「何が?」
『身体のストッパー的なものがバカになっておねしょ治らなくなっちゃったりとかするんだって』
「あぁ、その事か。いいじゃん。俺別に気にしねえよ。おまえの下半身ユルユルでも」
『俺が気にするしこまるし』
お前は変態だから気が楽でいいよな全く
「でもお前おもらしすんの好きだろ?」
『は、なんで?』
「すげえ気持ちよさそうにしてんじゃん。いっつも」
『んなわけねえだろ!』
「そうか?そんな事ないだろ?いいじゃん、気持ちいい物は気持ちいいし。それに我慢したもの一気に出すって普通に気持ちいいと思うけどな」
『だからって、おもらし気持ちいいとかないから』
「まぁ、それならそれでいいけど」
当たり前じゃないか
おもらしなんて、気持ちいいわけがない
服だってびちょびちょになって
くっついて気持ち悪いし
だんだん冷えていくのだって嫌なものだし…
変なこと、言わないでほしい
ともだちにシェアしよう!