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第43話(しずく)
「やっぱり熱あんね」
と、風呂から戻ったおれを
ソファに座らせて
祈織さんは言った
『熱あんのかな、』
よくわかんなかったけど
言われてみたら
だるい気がする
「びしょ濡れで寝て冷えたんじゃん」
と、おれから体温計を受け取っ
「37.8か。なんか買ってくるけど、何食う?」
『いおりさん、お仕事行かなくていいの?時間なかったんでしょ?』
「あー、お前のフェラしてたら時間なくなってたし、お前熱出てるから今日休むって連絡しといた」
『え、そんな、いいよ。平気だよ。行きなよ』
「いいって今更。有給。おれもたまには休みたいし」
と、祈織さんはスーツじゃなくて適当な服を着て
ポケットに財布をいれた
「欲しいものないなら適当に買ってくるけど。カツ丼とか」
『……できればもうちょっと消化に良さそうなので……』
「ええ?なに?麻婆豆腐とか?カレーとか?」
『しげきぶつぅ……』
あれほぼ液体だしね、とか言ってる…
そっか、この人生活能力ない人だった
『で、できればお粥とかスープとか…』
「お粥とかスープね」
りょうかい、と
玄関のドアが閉まった
そんな、体調悪い感じはないけどな
ちょっとだるくて熱いくらい
んんん、
ちょっとねむい、
祈織さん帰ってくる前に寝ちゃいそ、
うとうとする、
起きてるの疲れると目を閉じた
おしっこしたい、
動きたくない、
と、手を伸ばし
机の下の箱に手を伸ばして
おむつを手に取った
ごそごそと
その場で下着からおむつに履き替えて
しょろろ、とおしっこをする
『ふいぃい、』
気持ちいい、
おしりのほうまで
温かいのが広がって
おむつの中がもこもこと膨らんで
ちんこがあったかいもこもこに包まれていく
おれ、なにしてんだろ、
トイレ行かないで
わざとこんな所でおしっこしちゃって
ごろん、と体勢を変えてうつ伏せになると
もこもこに膨らんだおむつがより密着して
ちょろ、と少しだけ残っていたののも全部出た
んん、ねむい、と
再び寝返りをうって目を開けた時だ
ガチャッと玄関のドアが開く音がした
あ、祈織さん、
帰ってきた
そこでようやく気づいて
がばり、と起き上がる
けど、なんだかふらふらして
また横になる
「ただいまー」
『い、おりさん』
「ん?あれ、なにやってんの」
『おしっこ、……』
「動けなかった?大丈夫?」
『えっと、めんどくさくなっちゃったから』
「トイレいくのめんどくさくて、ここでしちゃったの?」
『…ごめんなさい、』
と、謝ると
祈織さんは頭を撫でてくれた
そして、
「今日だけだよ」
と、おれのおむつを替えて
下半身をきれいにしてくれる
「つむ、おいで」
と、向かい合うように膝の上におれをのせて
背中を撫でてくれた
「体調悪い時って甘えたくなるじゃん?甘やかしてやるよ。おれが」
と、ぽふぽふとしばらくおれの背中を撫でてくれてたけど
飽きたのか
足が痺れたのが
おれを下ろしてテレビを見始めた
「つむ、なんか食う?」
『いい、今眠い』
「俺のベッドで寝ててもいいよ、お前の布団、今シーツ洗濯中だし」
『えっと、でも、祈織さんのベッドでおもらししちゃったらこまるから…』
「俺のベッドも防水シーツだから平気だけど。お前おむつ履いてるし」
『祈織さんのベッドも防水シーツなの?おねしょしちゃうから?』
「……うっさ。社長が送ってきたから使ってるだけだし」
へえ、社長、
あの祈織さんが好きな社長ねえ
ふぅん、と
そのままソファにふて寝をした
「なに、ここで寝んの?」
『いおりさんって、』
「んー?」
『社長が好きなの?』
「なんだよ、急に」
『いや、祈織さんの好きな人って社長かなーって』
「寝るか食うか薬飲むかすれば?」
『えっと、じゃあ薬飲む』
「はい」
と、渡された薬は
何か食べないと飲めない薬だったから
何か食べ物を探そうと立ち上がる
「なにかいんの?」
『えっと、なんか食ってから飲む薬だから』
「あー、そういうやつ」
『薬って大体そうでしょ?』
「俺あんま薬飲まないからなー」
『そうなの?』
あれ、そういえば
なんか祈織さん薬効きにくいって誰かに聞いた事あった気がする
「頭いてえ時とか薬効かないから結構つれえんだよね」
『えええ、かわいそう』
「ほら、お前は早く薬飲みな。何食う?ゼリーでいい?」
と、俺の代わりにキッチンまで行ってエネルギーチャージゼリーを出してくれる
『ありがとう』
と、それを受け取って
飲んでると
目の前にスポーツドリンクみたいなのも置いてくれる
意外だった、こういうの買ってきてくれるって
てっきりコーラとか出されると思ったから
「風邪引いた時は水分取るってみなちゃん言ってたよ。だからこれ、全部のみな」
『えっと、……徐々にでいいかな?』
2リットルはあるそれを
さすがに一気には飲めないから
徐々に飲む事にして
とりあえず薬は
水がなかったからそれで飲んだ
そしたら1口しか飲まなかったのが不満だったようで
ずっと見てくるから
追加で
ごくごく、と一気に3口くらい飲んだ
『祈織さん、あんまり飲むと、またおしっこしたくなっちゃう、』
「沢山飲むのがいいらしいよ。それでも治らなかったら病院行こう」
『あ、うん』
そんなに、重症ではないんだけどな
まぁ祈織さん優しくしてくれてるし
ちょっと甘えちゃおう
ごろん、ソファに寝て祈織さんの膝に頭を置いた
すると、
ふわふわ、と優しく頭を撫でてくれる
あー、これ寝れるやつ
◇◆
『んご、っ』
頭がずり落ちる感じで目を覚ますと
祈織さんがおれの頭を落として立ち上がるところだった
『んん、いおりさん』
「ごめん、起こした?」
『へいき、ちょっと寝た』
んん、と伸びをして起き上がると
祈織さんはすぐに
飲み物を差し出してきたから
ごくごく、とそれを飲んだ
寝て、薬が聞いたのか
ちょっと身体が楽になった
そんなおれの股間をごそごそといじる祈織さん
『祈織さん?』
「おしっこ、出てるかなって」
『出てないよ』
「なんだ、替えてやろうと思ったのに」
やっぱり今日の祈織さん優しい
というか
看病を楽しんでいた
『えっと、もう、へいき。おしっこ自分で行けるし』
「そうなの?」
『うん、』
「なんだ、つまんないの」
と、祈織さんは行ってしまって
ちょっと寂しくなった
待って、と手を伸ばした時だ
『いおり、さん、っんん、っぁ、』
「つむぎ?」
『な、んで、っ』
「どした?」
『おしっこ、でてるぅ、っ』
出すつもりなんて無かったのに、
身体が、祈織さんにもっと甘えたくて
勝手に出してしまったんだ
じゅわわ、と
おむつの中であったかい水が広がっていき
沢山とっていた水分は
じょおおぉ、と音を立てていた
「なに?出しちゃったの?」
『…ぅ、ん…でちゃったぁ、』
「しょうがねえなあ」
と、祈織さんは笑って
俺のところに戻ってきてくれた
おむつ、替えてくれるんだ
優しくしてくれるんだ
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