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41 焦ったいのは
寝室に入ると優吾さんはベッドに腰掛け誰かと電話をしていた。俺に気がつくと「ちょっと待ってて」というようなジェスチャーをして出て行ってしまう。取り残された俺はなんだか拍子抜けしてしまい、しょうがないからベッドに入った。
優吾さんとお揃いのルームウェア。もともとあったものと、二人で選んで新たに買い揃えた新品のもの。その一着を身に纏って俺はふかふかのベッドに潜る。
これだって店で二人で選んでいるときはとても恥ずかしかった。ルームウェアは肌触りが良くいいものを……と言って、わざわざ優吾さんがよく行くデパートまで足を運んで選んだ。終始優吾さんの担当だと言う年配の店員が俺たちに付いて回るものだから余計に落ち着かなかった。優吾さんはいつもの事でなんてことなさそうだったけど、俺は男二人でお揃いの物を選んでいるという事を他人に見られ、尚且つあれやこれやお勧めされるのが物凄く恥ずかしくてずっと変な汗をかいてたっけ。思い出したら笑えてくる。
本当にこれからは優吾さんと二人の生活になるんだな。
橋本さんにも手伝ってもらって思いの外早く部屋も片付いた。しばらくは段ボールに囲まれた生活になるんだと思っていたから、こうやって落ち着いてベッドで寝られるのが嬉しかった。新しい生活のスタートだと思ったらワクワクしてしまい、昨夜はあまり寝られなかった。おまけに今朝もかなり早起きをした。そのせいかぼんやりと今日までのことを思い返していたら段々と瞼が重くなってしまった。
どれくらいウトウトしてたのだろう。突然優吾さんがベッドに入ってきて意識が戻る。
「公敬君、眠たい?」
優吾さんもシャワーを浴びて来たのか少し髪が湿っていた。俺と同じルームウェアを着て、俺のことを抱きしめてくれる。優吾さんのぬくもりと共に、俺と同じボディーソープの匂いがして途端に幸せな気持ちになった。
「ごめんな、待たせた……」
「ううん、大丈夫」
俺は抱きしめてくれる優吾さんに足を絡め、キスを強請った。ぎゅっと抱きしめ返すと「よしよし」なんて言いながら俺の頭をフワッと撫でてくれる。眠気なんてどっかいったし、優しいキスがもどかしくて俺は自分から舌を絡めた。
「もうこんなにしちゃって……弄ってもいい?」
この前とは打って変わって優しく俺に聞いてくれる優吾さん。焦らすように腰のまわりをゆっくりと撫でる。でも一々聞かれるのも恥ずかしくって、どうかと思った。ルームウェアの上からそっと触れてくる優吾さんに焦れた俺は、自分から優吾さんの服を脱がせ押さえつけた。
「優しくしてって言ったけど、焦れったいのは嫌だよ。ちゃんと触って……気持ちよくして」
自分も着てるものを脱ぎ裸になる。優吾さんに跨り押さえつけたまま俺からキスをした。俺だって男なんだし、してもらってばかりじゃダメだから。優吾さんにも喜んでもらいたくてちょっと頑張ったのに「生意気だ」と逆に押さえつけられてしまった。
結構な力……
ふと初めての時のことを思い出してしまい少し怖くなる。恐る恐る優吾さんの表情を盗み見たら、俺を見て笑ってくれたから安心して身を委ねた。
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