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42 俺を見て

「ねえ……もういいって……優吾さん、あ、あっ……」  俺に尻を突き出させて、優吾さんはさっきから俺の中に指を挿れ弄くりまわしている。前回とは違い物凄く丁寧で優しいけど、それにしたってこの格好は慣れなくて恥ずかしい。おまけに優吾さんに指を突っ込まれてどれくらい時間が経ってるのだろうか? かなり長時間弄られているせいか、痛さや違和感などはとっくに消え、勝手に声が漏れてしまうほどには気持ちよくなってしまっていた。 「……もうやだ、あっ、優吾さん……なんか出そう……そこばっか弄らないで……あっ……あ……んんっ」  足もガクガクしてくるし、ほんとこんなこと言いたくないけど、尿意なのかさっきから漏らしてしまいそうな感覚が何度も襲って来て正直しんどい。 「やっ、マジで優吾さん……なんか出ちゃう……やだ……待って」 「ふふ……おしっこ出ちゃいそう? 大丈夫だよ、出ないから。あ、でも別に出ちゃってもいいよ」  優吾さんは楽しそうにそんな事を言って笑ってる。俺の尻に指を挿れながら前も容赦なく扱いてくるから、俺は気持ち良さでおかしくなりそうだった。それにおしっこ出ちゃってもいいって、ダメじゃん。流石に新品の綺麗なベッドを初っ端から汚したくなんかない。勘弁してくれ。 「お願い、やめて……ああっ……あん、優吾さん……気持ちい……おかしくなっちゃう……うっ」  あまりのしつこさに半分泣きながら懇願していると、慣れた手つきで優吾さんは俺にもゴムを装着した。 「これなら汚すの気にしないで存分に感じて乱れられるでしょ?」  そんな風に悪戯っぽく笑われて、この時点で俺はもう相当気持ちよくって我を忘れてる程だと思うんだけど、喘ぎ声ばっか出てしまって反論もできなかった。  散々弄り回され、気付いたら優吾さんの熱り勃ったものが尻に当てがわれていた。後ろからの方が楽だから、と言われたけれど、俺は優吾さんの顔を見ていたかったし、何より最初の時のあのひたすらガンガン突かれてた事を思い出してしまって怖くなった。どうしても後ろからされるのが嫌だった。あの時のことが自分で思う以上にショックだったんだと今になって気がつき、ちょっとだけ萎えた。 「俺、優吾さんに見てて欲しい……俺のこと、ちゃんと見て……背後からじゃ嫌だ」  優吾さんは俺の言い方に満足したのか、俺に向きを変えさせ嬉しそうに抱きしめてくれた。ゆっくりと確かめるようにして俺の中に挿入してくる。少しの圧迫感に俺が息を詰まらせるたび、優吾さんの唇が俺の唇を塞ぎ舐る。熱いキスに気を取られているうちに優吾さんと俺は密着しひとつになった。大袈裟ではなく初めて感じる幸福感に身体が震えた。  今度こそ……今度こそ! と嬉しくなって目頭が熱くなる。優吾さんはそんな俺に構わずいちいち気遣って「大丈夫か?」「痛くないか?」と耳元で囁くものだから、この人はこのあいだの優吾さんとは別人じゃないかとすら思えて可笑しくなった。  初めこそゆっくりと馴染ませるように動いてくれていた優吾さんだったけど、俺が喘ぎ声を漏らすたびに「ごめん、我慢できない」と呟きながら激しく俺を揺さぶった。散々優吾さんが慣らしてくれたからこんな風に謝ってもらわなくたって全然平気。むしろ俺なんか気にせず、優吾さんのしたいようにしてほしかった 。  何度も何度も突かれながら俺は優吾さんの名前を呼んだ。俺が名前を呼ぶたびに、ここにいるぞと言ってくれているかのようにキスをくれる。頬を撫でてくれる手が、耳元で囁かれる「好きだよ」の言葉が心地良い。優吾さんと付き合ってきてたまに感じていた不安感も、こうして求められ気遣われることでどんどん薄れ、心が満たされていくのがわかった。 「優吾さん……好き、大好き」  気がつけば俺は優吾さんにしがみつき、果てていた。

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