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53 愛し合うということ
「イかせて……もうやめないで、早くっ、優吾さん……」
「そんなんじゃダメ。ちゃんとお願いしてみろ。丁寧に」
意地悪い顔で俺の頬を掴み、片方の手で乱暴に俺を扱く。怒られてるように感じて悲しくなるけど、それでも優吾さんがそうしたいのなら何だっていいと思ってしまう。
「お願い……します……んっ……イかせてください、優吾さん」
泣きながら優吾さんにそう伝えると、やっと満足したのかすんなりとイかせてくれた。
何度も何度も寸止めされた挙句にやっとイかせて貰えたのも束の間、優吾さんは扱く手を止めてくれない。ずっと弄り倒されたそこはいつも以上に敏感で、そのまま強く擦り続ける優吾さんの手に、俺は声を上げずにはいられなかった。
「やめて! もうっやだ! やっ……優吾さん! 離して! やっ!……やだよ……やめて! ああっ! おかしくなっちゃう」
両腕が拘束されてるからどうしても優吾さんから逃れられない。気持ちいいを通り越し苦痛にすら感じる。なんとか優吾さんから逃れようと体を攀じるも全く意味がなく、そんな俺の姿を見て優吾さんは楽しそうに声まで出して笑っていた。
「ああっ、あっ、やっ……だめだめだめ! あぁ……あ……ああ……」
腹の底から込み上げてくる得体の知れない快感に怖くなる。自分の意に反して太腿が痙攣を起こす。興奮した表情を見せる優吾さんは、そんな俺に「ほら早く出せよ、いいぞ……出せ」と吐き捨てるように何度も言った。
「うわ、公敬君凄いよ……潮吹いちゃったね。びちょびちょだ……ああ、こんなに濡らしちゃって……どうすんの?」
酷いよ。優吾さんが俺をこんなにしたんじゃん。刺激が強すぎてまだ下半身が小さく痙攣している。優吾さんの言う通りビショビショになってしまって気持ちが悪いし、何より終始撮影されていたのが嫌だった。粗相をしてしまったことがショックで気持ちが萎える。
「もうやだ……優吾さん、手……これもう解いて。こんなにしちゃってごめんなさい……」
それでもこれで終わりなんて嫌だ。ちゃんと優吾さんにも俺で気持ちよくなってもらいたい。俺ばっかこんな風にイかされて、抱いてもらえないなんてそんなの嫌だ。俺は愛されてるんだ、大丈夫だと実感したい。優吾さんにこうやって酷くされると自信がなくなる。いやらしいことをする度に悲しい気持ちになるのは嫌だ。
「優吾さん、満足してないでしょ? 早く手、解いて俺のこと抱いてよ……優吾さんの……俺に挿れてよ」
精一杯の強がりで優吾さんに強請ってみせる。
早くこの最悪な気持ちから俺のことを掬ってみせてよ。優吾さんが俺をこんなにしたんだから、今度は目一杯幸せな気持ちにしてくれよ。
「随分と余裕あるんだな。いつからそんなに煽るのがうまくなったんだ」
優吾さんはニヤリと笑ってそう言うと、俺の手の拘束を解いてくれた。
「後ろ、弄らせて」
今度は優しく俺の体に触れてくる。優吾さんに腰を掴まれ、四つん這いになれと言うので素直に従った。ねっとりと優吾さんの指が俺の中を掻き回す。ゆっくりと探るように俺の中を弄りながら背中にキスをしてくれた。
「このまま挿れるよ……」
俺のうなじにチュッと音を立ててキスをし、優吾さんはそのまま俺の中に侵入してくる。じわじわと押し広げられ奥まで犯されていく感覚に、全身がぞくりと粟立つのがわかる。耐えきれずに俺はまた情けない声を上げてしまった。
「あぁ……優吾さん、奥……奥までやだ……あっ、あぁ……深い……あっ……ん」
ゆっくりでも、まだ奥まで入ってくるのかとちょっとだけ怖くなる。痛みこそないものの、まだ慣れないこの圧迫感にどうしても体が身構えてしまう。
「公敬君、気持ちいいよ……大丈夫……リラックスして。こっち向いて、キス……舌出して……んっ……中熱い……ちゃんと俺に吸い付いてきて……んっ……最高だ」
優吾さんに顎を掴まれ無理矢理後ろを向かされる。噛み付くようにキスをされ言われるままに舌を差し出すと、優吾さんにそのまま貪られ涎が垂れた。優吾さんの熱い舌が俺の口内を犯していく。上顎を撫でるように舌が這うと気持ち良さに腰が疼いた。
優吾さんに腰を掴まれ、ずるりと抜けそうになる寸前にまたグンっと奥まで突かれる。優吾さんのリズムに合わせるように俺の口からは情けない喘ぎ声が漏れ続ける。もう我慢なんてできない。情けなく声を上げながら、何度も何度も優吾さんの名前を呼んだ。
優吾さんの声が聞きたくて、「好き」だと言ってもらいたくて、俺は何度も「好き」と声を出す。優吾さんの熱い滾りが俺の奥で容赦なく暴れる。押さえ付けられ、乱暴に腰を突かれても優吾さんの気持ち良さそうな喘ぎ声に幸せを感じる。俺が気持ちいいのと同じに、優吾さんも興奮してこんなにも激しく俺を求めてくれるんだと安心する。
「公敬君、イくよ……」
正常位で抱きしめられながら耳元に囁かれる。熱の篭ったその声に、ゾクッと俺も快感が走りあっという間に吐精した。
優吾さんとのセックスは最初は酷くされることが多い。意地悪な事をされ、とことん悲しい気持ちになり不安になる。それでもその後はこれでもかってくらい優しく愛して触れてくれて、たくさんの愛を俺に注いでくれるんだ。俺はなにもかも優吾さんが初めてで、これが普通なのかそうじゃないのかがいまいちわからない。
同じ家に住んで寝食を共にして、求め求められ体を重ねる。ちゃんと「愛してる」も言ってくれるし時間が合えば行ってらっしゃいのキスだってしてる。きっと男女間の恋人同士のそれと同じ、俺らは男同士だけど、お互い愛し合っている恋人同士だ。
そうだよね?
優吾さん ……
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