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69 欲しい
久しぶりに感じる優吾さんの匂いにクラクラしてくる。俺にされるがまま、少しの抵抗すら見せず段々と息が荒くなっていく優吾さんに、俺は無我夢中で貪りついた。
「ねえ、優吾さん……座って。ここに……俺のここに、優吾さんのが欲しい。挿れていい? 俺も優吾さんで気持ちよくなってもいい?」
椅子に座らせ自分もそのままズボンを脱ぐ。先走りが床に糸を引いて垂れたけどそんなの気にしない。恥ずかしさなんかより、早く優吾さんが欲しくて堪らなかった。
優吾さんのを舐っているだけでイきそうになってしまう。以前の優吾さんならきっとそんな俺にイヤらしく声をかけてくれただろう。
「何も言わないんだね……そんなに俺とするの嫌? 婚約者に申し訳ない? こんなに勃たせちゃって説得力ないけど……ダメだって言ったってするから……」
俺は座っている優吾さんに背を向け、ゆっくりと腰を下ろす。本当はちゃんと向かい合って優吾さんの顔を見たい、抱きしめてもらいたい。でもその体勢じゃ強引に挿れることは難しいから、後ろ手に優吾さんのペニスを掴み、こうやって自身の尻にあてがうしかなかった。
「待て……解してないのに無理矢理挿れようとするな」
「あっ!」
急に優吾さんが声を荒らげ、俺の後孔に指で触れた。少し触られただけなのに、体が跳ねてしまうほど気持ち良く感じる。
優吾さんが触ってくれた。俺のことを心配してくれた。嬉しくて泣きそうになる。優吾さんに背を向けていてよかった。情けない顔は見られたくない……
「大丈夫だから、触らないで。優吾さんは何もしなくていいから……黙ってて」
俺の腰を掴んでいた優吾さんの手がそっと離れ、また口を噤んでしまった。微かに触れていた優吾さんの体温が自分から離れてしまっただけで目の奥がツンとする。
……泣く必要はない。
最後に抱かれたいとずっと思っていたんだ。昨日だって優吾さんを思って自慰をした。いつでも優吾さんを受け入れられる準備はしてある。念願叶って今こうしているんだ。
そんな事言ったら優吾さんはどう思うかな。重いと言って引くかもしれない。だから言わない、これで最後。お終いだから俺が優吾さんを犯してやるんだ。
俺はローションを手に取り自分で解し始める。大丈夫……少し弄るだけで優吾さんを受け入れられる。
背後に優吾さんの視線を感じながら、その場所を見せつけるようにして腰を突き出す。ここに……ここに貴方のそれを挿れるんだよ。今まで散々ここで気持ちよくなったでしょ?
「優吾さん……あぁ……どう? 見える? 俺のここ……久しぶりでしょ。挿れるよ……」
俺は震える声でそう言いながら、ゆっくりと優吾さんに押しつけるようにして腰をおろしていく。久しぶりに感じる圧迫感は想像していたよりも遥かに強く、やっぱり痛みはしょうがないか、と覚悟を決めた。
「待って、やっぱり触れちゃダメか? せめて俺にやらせてくれ……」
さっきまで黙って何も言わなかった優吾さんが突然俺の尻を優しく撫でる。その優しい声に我慢していた涙が落ちた。
「やだ……触るな、俺がやるんだ! 痛くたっていいんだ……俺が勝手にやったことなんだから、黙って俺の言うこと聞いてりゃいいんだ」
優吾さんの手をぴしゃりと払う。今更優しくなんかされたくない。この行為は同意じゃない。俺の勝手な行動なんだ。
「優吾さんは余計なことするな!」
声が震える。意図せず嗚咽が漏れてしまう。早く……早く優吾さんのそれを挿れるんだ。俺が腰を振って中でイカせて、優吾さんがこれから先俺のことを思って罪悪感で苦しめばいいんだ。
「うっ……ぐっ……」
もたもたしていたせいか、優吾さんのペニスが少し萎えてる。無理矢理俺が挿れようとしても、もうそうなってしまった以上どうすることもできない。せっかくのチャンスだったのに……もう一度フェラでもすればやれるかな。俺は動転してもう一度優吾さんから離れ、前に跪く。その途端、鬼の形相の優吾さんに髪の毛を掴まれてしまった。
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