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108 会いたかったから?
ホテルに着くと今度は俺が剛毅を引きずるようにして部屋へ入った。そしてそのままベッドに剛毅を突き飛ばす。
「なあ、そんな風に俺に接してくるならいいんだよな? お前、そのつもりで来てんだよな?」
ネクタイを緩めながら剛毅に馬乗りになり、空いている方の手で剛毅の首を軽く絞める。俺のことをよく思っていないくせに、わざと思わせぶりな態度を見せる剛毅。きっと何か思うところがあっての行動なのだとわかっているからこそ俺もそれに乗ってやった。
苦しそうに顔を歪める剛毅にキスをする風を装い下唇を噛む。
「いっ……!」
顔を逸らした剛毅の唇から血が滲み、俺は舌でその血を舐めとった。そのまま唇をそっと重ねる。剛毅の顔を盗み見ると、嫌悪感丸出しでその表情を歪めていた。
やっぱりな……
乱暴に服を脱がせ、緩めたネクタイを外し手首を縛る。そのまま下着姿の剛毅を残し、バスルームへ一人向かった。
「剛君は……何で俺を呼び出した?」
「何でって、会いたかったから……じゃダメなんですか?」
白々しく嘘を吐く剛毅に、そんなんで俺を騙せているつもりなのかな? と少し可笑しく思った。お互いシャワーは済ませた。あらためて剛毅の手首を縛る。剛毅は縛られた手を前に出し、小首を傾げもう一度「安田さんに会いたかった」と呟いた。
「ん。わかった、いいよそれで。可愛がってやる」
問い詰めたところで本当のことを言うとは思わなかったから、この時間を楽しもうと決めた。ベッドに座る剛毅の事を俺はゆっくりと押し倒した。
「あっ……ん、ねぇ……安田さん……はっ……あっ、今日は……咬まないの?……痕……つけてくれないの?……あ……ん、いつもみたいに……してくれないの?」
体を震わせ、喘ぎながら剛毅は堪らずそう懇願する。自分より随分と若く経験も少ないだろう剛毅が、生意気にも俺のことを利用しようとしていることに興味があった。痛めつけられているのを期待しているのなら反対のことをしてやろうと思い、俺は優しく恋人に触れるように大事に扱う。それでも何かに必死で健気な部分が垣間見れ、少しづつ愛おしさも湧いてしまっていた。
ビクビクと痙攣をする尻を撫でながら思わず「参ったな」と呟き、俺はその尻に噛り付いた。
「ひっ…… 」
「どうしちゃったんだ? 剛君は痛いの嫌なんだろ? そんな風におねだりされたんじゃ俺は我慢ができなくなる…… ほら、どうした? ほらっ、もっと奥がいいか?」
持っていたディルドを乱暴に抜き挿しする。快感とも嫌悪ともとれる微妙な表情を見せる剛毅に俺は苛々も募っていった。
縛っていた手を解いてやり、そのまま覆いかぶさるようにして剛毅のことを抱きしめた。首筋に優しくキスをして、ゆっくりと唇を重ねる。ビクッとこわばる剛毅に気づかないふりをしてそのまま続けた。優しく舌を絡めるも、キスは嫌なのかやはり剛毅は自分からは舌を絡めようとはしなかった。
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