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第14話 記憶<切られた糸>R18に片足突っ込んでる
突然扉が開いたかと思うと、そこにロウが立っていた。
「え?ロウ?」
迂闊だった。ロウの気配に気づかないなんて。独り言、聞かれたかな。
「どうしたの?何かあった?」
なるべく平静を装って、いつも通り笑いかける。
「い゛っ。」
突如、視界が反転し、肩に鋭い痛みが走る。
「へ…?」
痛みのする方へ目を向ける。するとそこには、瞳を真っ赤にして光らせ、僕の肩に噛みついているロウがいた。
「ロ、ウ…?」
それは確かにロウだった。でも、纏う感情が違う。
「俺から離れようなんて、そんなこと許さない。」
今までに聞いたことのない、怒りに満ちた声で、ロウはそう言った。
「聞いて…っ」
どうやら、独り言は聞かれていたらしい。
「一生消えない痕を残してやる。」
耳元でそう囁くと、ロウは僕の服の中へと、手を入れた。
「ちょっ…え?やだっ。ロウ、やめて。やっ。」
藻掻いて抵抗すると、手首を頭上に拘束された。
「やっ。やだっ。ロウっ。なんでっ。」
ロウは何も言わず、無言で肌に触れてくる。
「ふぁっ。」
本来ならば誰にも触れさせるはずのないそこに指を挿しこまれ、声が漏れる。
「やっ。ロウ、やめて。ロウ!」
「……。」
そう願っても、叫んでも、ロウはやめてくれない。まるで何も聞こえていないかのように。
「ロウ……。」
そうやって名前を呼んでも、まったく反応がない。それがどうしようもなく悲しくて、自然と涙が零れる。
「あ゛っ。い゛っつ。」
再び、首筋に鋭い痛みが走る。
「ロウ、痛い。やめて、ロウっ。」
歯が皮膚を深く抉り、肉を突き破る。傷口からはこぽりと血が零れた。
「ん、甘…」
それを、そんなことを呟きながらロウが舐めとる。なお溢す傷口までたどり着くと、そこを愛おし気に口づけた。
(なんで、そんな顔してるの…?)
怒った声をしていたのに悲しくて、今にも泣きだしそうな表情 。まるで捨てないで、置いていかないでと縋っているような。
「ロウ……」
ロウの背中にそっと手を回す。…震えている。
「ひっあああっ。」
久方ぶりの衝撃を、そこに思い出した。
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