23 / 27

第23話 再会

  懐かしい匂いがする。温かい匂い。優しくて、愛しくて、安心する匂い。 「ん……」  重く閉じる瞼をゆっくりと開く。 「……ロウ?」  開いた視界には、ロウの顔が大きく映っている。 「レイ、大丈夫か?どこか気持ち悪かったりしてないか?頭痛いとかないか?」  心配そうにこちらを見ている。離れている間に随分と育ったようだ。少し髪も伸びている。 「ん、大丈夫だよ。知らない間に随分かっこよくなったんだね、ロウ。」  近づいたロウの頬へと手をあてる。 「改めて。会いたかったよ、ロウ。」  首に手を絡めて、抱き寄せる。 「ずっと、会いたかった。もう会えないかと思ってた。」  本当に、もう会えないかと思っていた。 「俺も、ずっと会いたかったよ、レイ。」  ロウも、僕の背中に手を回して抱きしめ返してくれる。 「ね、ロウ。好きだよ。愛してる。」  耳元でそっとそう囁く。 「ああ、俺も愛してる。」  すると、ロウもそっとそう囁き返してくれた。 「…痩せたな。」  ロウが僕の躰にそっと触れて、呟く。まるでガラス細工を扱うように、慎重に丁寧に、触れる。 「気のせいだよ。」  僕の躰は何回死のうとも再生するように作られている。完全に再生されるから、変化が起こるはずもない。 (疲れてるのかな。)  ならば、きっと疲労が顔に出ているのだろう。先程魂を抉られたばかりだ。 「もう少し眠ってろ。傍にいるから。」  ロウが僕をそっとベットへと戻し、瞼に手のひらを置く。 「うん。じゃあ、そうさせてもらおうかな…」  微睡みと共に訪れた睡魔に、僕は抗うことなく身を委ねた。

ともだちにシェアしよう!