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第25話 情事のアト

 初めて僕から誘った情事。ロウは、優しかった。 「………。」  両手足は拘束されなかった。視覚は奪われなかった。身体を抉られることもなかった。刻まれることもなかった。首を絞められることもなかった。 「あー、ちょっと恥ずかしいな。」  初めて、だった。こんなに優しくされたのは。ゆっくりと、じっくりと。もう焦らしてるんじゃないかっていうくらいに時間をかけて丁寧に解されて、指で何度か絶頂を迎えた。その後にゆっくりと、本当にゆっくりと挿入をして、腰に負担が極力かからないように突かれた。 「ん…レイ?」  隣でロウが目を覚ます。少し離れた所で目を覚ましたが、ロウの手が僕をグイっと引き寄せて一気に近づく。 「おはよう、ロウ。よく眠れた?」  起きたばかりで思考がぼんやりとしているのか、ロウはまだ僕を視界に捕らえきれていない。 「レイ、と、別れてから、初めてまともに眠れた…」  ぼんやりと天井を眺めながら、ロウが呟くようにそう言う。 「ロウ…」  やはり、あの行為はロウの心に傷をつけたのか。別れてから、ということは、100年程は満足に眠れていないということだろう。種族特性故に死には至らないが。 「...ごめんね、ロウ。」  今更でもあり意味もないが、そう謝る。 「いや、レイは俺を逃がすためにああしたんだろ。俺が、もっと力を持っていれば...」  ロキ様の顔を思い出したのか、苦々しく吐き捨てるようにロウが言う。 「あんな生まれたばかりの未熟な状態で神に勝つ...いなすなんて無理だよ。あれは必要だった。」  そうは言っても、僕は創造主の気まぐれに生かされ、逃がさせてもらえただけ。必要犠牲も何もない。あれはただの必然だ。 「また、回収に来るのかなぁ...」  呟くように、吐き出す。 「...大丈夫。俺が、させない。」  すると、手を強く結ばれてそう言われる。 「無理は、しちゃだめだよ。僕が行けば、取り敢えずは大丈夫なんだから。」  そう。取り敢えずは、大丈夫なはずなんだ。大丈夫。大丈夫。 「………。」  面白がって攻めてきたら。ロウにまで手を出したら。どうしよう。どうしよう。僕にはそれを止められない。止められるだけの価値が、僕にはない。創造主にとって、僕にそんな価値はない。 「大丈夫だよ、レイ。今度こそ、守るから。絶対に放さない。」  結ばれた手がさらに引かれて、ロウの腕の中に体がすっぽりと収まる。 「……うん、ありがとう。」  少し上の方にあったロウの頭を抱き寄せ、そのまま深いキスをした。 「!」 (愛してる。)  好き。大好き。愛してる。何よりも大切で、守らなくてはいけない存在。 「愛してる。」

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