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第3話

あったかい ふかふかする げほげほ、と咳がでて 喉が引きつって目を覚ました 『げほっげほげほ、っ』 「起きた?なに?水飲む?」 と、ペットボトルを渡されて 開けて飲むと 喉の渇きが収まって 咳が止まった 『ふぅ、』 「おはよ」 今更ながら 自分の状況がわからなくて きょろきょろ辺りを見回す 普通の部屋の、リビングみたいなところ テレビの音がする 明るい、電気が 『ここ、どこ』 「俺の家」 『ふうん、なんで』 「漏らしてるし、熱出してたから。とりあえず連れてきた。感謝して欲しいぜ、おれが、片付けて着替えさせてやったんだよ」 『それはお前のせいだろ。あんな所閉じ込めやがって』 「だから着替えさせてやったじゃん」 なんで、そんなえらそうなんだ、こいつ 道でぶっ倒れた俺も俺だけど 拾って監禁したから 漏らさざるを得なくて… 俺だって、 熱で身体に力が入らないのに 必死に我慢したのに 『お前のせいじゃん』 「熱は?」 『まだ、ある、熱い』 「ふーん、薬飲む?」 『あんの、』 「あるから言ってんじゃん」 『飲む』 すると、 ポイ、と箱ごと薬を投げてくる 「なんか食う?なんか食わないと飲めない薬だったよな」 『おなかすいてない』 「これやるよ」 と、常温のゼリー飲料を渡される 『おいしくなさそう』 「なんもないよりマシじゃん」 たしかにまぁ、胃が痛くなったりしたらやだから しかたなく常温のそれを飲んでから 薬も飲む ふぅ、つらい いつまでここにいていいのかわからないけど とりあえず今は動けないから ソファに寄りかかる すると、 ソファのすぐ後ろにそいつは来て ぐい、と後ろから俺のおでこに手を当てた 急に引っ張るから ぐて、とソファに首を預けて上むく 『いてえ』 「熱いな」 と、上から俺の顔を覗き込みながらその男は言った 『離せよ、首が痛え』 「お前、口は悪いけど綺麗な顔してんね」 『は?きめえ』 「なぁ、お前、名前は?」 『関係ねえだろ』 「は?泊めてやるんだから言えよ」 『……しば、いおり』 「シバ?犬みたいな名前だな」 『しね』 あー、だるい まだ体がだるい ふん、と横を向いて そいつの視線から逃れるように 腕で目元を隠す 「シバ、寝てていいよ。おやすみ」 と、そいつは俺に言った なんなんだよ、お前 お前の、名前 なんなんだよ

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