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第9話

「今日ベッドと枕来るからそしたら仕事行くぞ」 『…んー』 と、シバは相変わらず床に転がっていた 本当は一昨日、一緒に買い物に行った後に仕事に連れていく予定だったのに 枕が当日持ち帰り出来ず 不機嫌になったから諦めて今日にずらしたのだ 『枕、何時に来んだよ』 「午前中で頼んでるからそろそろじゃね」 今の時間は10時過ぎ シバは午前中はほぼ寝てる事が多いが 今日は枕がくるから早く起きたらしい 『早くこねえかなー』 と、本当に心待ちにしていた そして、 タイミングよく インターホンがなる 「お、来たんじゃね」 と、俺がいうと 早々にシバはオートロックを開けて 玄関のドアまで開ける 『きた』 そして業者が何人か入ってきて 1人はシバの枕 数人はベッドを運び込み組み立てをはじめた シバはそんなのお構い無しに リビングで枕の封をあけ ふわふわ、と感覚を確かめ リビングのソファにそれを設置した よし、上機嫌だな ベッドの設置が終わり、俺は早々に 着替えて会社に行く準備を始める 「シバ。約束だろ。お前も行くんだから準備してろ」 『えええ』 と、まだ枕を満喫したいシバは嫌がったけど 渋々起き上がって 伸びをした まぁ、今日はモニターだし着替えさせなくていいか と、いつものようにスウェットのシバに キャップだけ被せた 『着替えなくていいの?』 「あぁ、まぁお前はモニターだし」 それに、グレーのスウェットは都合がよかった 俺は色々荷物を持ち 手ぶらのシバを車の横に乗せた 「朝飯食ってないよな」 『別にいらねえ』 と、いうけど 途中のコンビニで適当に 飲み物とおにぎりを買って 会社に向かう 「あ、社長。おはようございます」 「おう」 「その、後ろの人例の」 『?』 「あぁ。モニターのシバ。あの部屋、準備できてるよな?」 「はい!」 と、うちのスタッフの 柳瀬翔太郎 通称ヤナギに挨拶をさせた 「シバ、じゃあそこ1回座って」 と、ミーティングスペースにシバを座らせると やる気のないシバは無言で腰を下ろす 『何すんの』 「簡単なモニターだって」 『だからそれなに』 と、不機嫌なシバと俺の前に ヤナギがコーヒーを出した 「砂糖とミルクは?」 『いらねえ』 と、言いブラックコーヒーに口をつけたけど 苦かったのか直ぐにそれをテーブルの上に戻した 「無理すんな、飲めねえんだろ。大人しく甘くしろよ」 『飲めるし。いらねえって言ってんだろ』 と、向きになったシバは一気にそれを飲んだ 「おい、熱いだろ。そんな一気に飲んだら」 『平気だし』 と、強がるシバ 「ほれ」 と、さっき買った乳酸菌飲料を渡すと 早々に開けて口をつけた当たり やっぱり苦かったようだ。 「シバ、今からお前にはあの部屋に入ってもらう」 『なんで、』 「確認だよ」 『確認?』 「温度とか、音の盛れ具合とか」 『ふーん?』 わかんねえ、と言うように首を傾げるけど 「まぁ、とりあえずあの部屋入って好きなことしてていいから。テレビもあるし」 『そんなんでどうすんの?』 「だから確認だって」 と、部屋にシバを連れていく 『変な部屋』 と、部屋に入った第一声 シバは言った それもそのはずだ 部屋は薄暗くて ベッドとテレビはあるけど いかにも風俗っぽい部屋 そして、壁の1面が鏡張りになってるのだ 「じゃ、何かあったらそこの電話で連絡して」 と、カラオケボックスみたいに入口のすぐ横にある電話を指さす 『どれぐらい、ここにいればいいの?』 「2時間。2時間たったら迎えに来るから」 と、いうとふうん、と興味無さそうに言った 「あ、これ食ってもいいよ」 と、先程コンビニで買ったおにぎりとお菓子と飲み物も渡すと シバはさっさとベッドに寝っ転がってテレビを見始めた ◇◇ 部屋の中からは鏡張りに見えていたが 実はマジックミラーになっていて 隣の部屋で シバの一挙一動を観察していた そして、部屋には好感度のマイクも仕掛けているから室内の音もしっかり聞こえる シバは1人だからなんにも喋らないけど テレビの音が中々リアルに聞こえているあたり このマイクで大丈夫そうだな あとはもうちょい観察して決めるか 鏡越しに観察されてるとも知らないシバは ごろごろとベッドの上を転がりながら だらしなく お菓子やジュースを口にしていた あいつ、家でもあんなんなのかな 今度家にペット用のカメラとか付けようかな そしたらシバの観察もできるし 1時間半がたった頃だ シバは寝るのにも飽きたのかうろうろとしし始めた そして、 「お、来た」 と、その時だ 「社長、どうです?」 と、ヤナギが様子を見に観察部屋に顔を出した 「ちょうど来たところだ」 「へえ、本当にするんですか?」 「まぁ見てろって」 と、言われるがまま ヤナギは鏡越しのシバに視線を送った うろうろ、 うろうろ、 と、部屋を何周か周り 1度ドアノブに手をかけた でも、もちろんロックがかかってるから開くはずが無くて チラチラと壁にかかってる電話に視線を送り始めたシバ そして、 きゅぅ、と控えめに一瞬だけ でも確かに自分の股間を握った 「おお、」 そして、チラチラと 壁の時計に視線を向けているのがわかる あと30分ほど 我慢できるのか 悩んでいるのだろう ウロウロと歩き回っては止まり しゃがみ しばらくするとまた歩き回ってを繰り返えしてたけど 我慢できないと、察したのだろう 電話の元にむかって歩きだし 電話の前でもう一度少し迷ってから手を伸ばす そして受話器を外して 耳に当てると プルルルルルプルルルル、とこちらの部屋にある電話が音を鳴らす 電話を待っている間も シバは我慢できないようで 膝をモジモジと擦り合わせながら待つ 「社長、どうします」 「もうちょい待って」 出ない電話にシバはイライラしているのか その場で足をバタバタとばたつかせ くそっ、と小さい声で言って電話を1度壁に戻す そして、その場で1度座り込んだ様子を見ると 限界が近い事がうかがえる シバは諦めて ベッドの方に戻ろうと立ち上がった 「ヤナギ、折り返して」 と、言うと直ぐにヤナギは折り返しシバに電話をかけた すると、 プルルルル! と、大きな音がシバのいる部屋に響き渡り その音に驚いたシバは ビクッと肩を震わせた 『っ、ぁ、』 そして、衝動的に ぎゅうう、と両手て自分の股間を抑える お、ちょっと出たか? まさか見られてるなんて思っていないシバは 前を抑え、へっぴり腰になりながらも 電話を、取る 『も、もしもし』 「あ?シバくん?今電話くれた?」 『誰?』 「ヤナギだよ。さっき会ったでしょ?」 『あぁ、あの人は?っ、…俺の事連れてきた人』 と、しっかりと股間を握り込み 足をモジモジとさせながら 言うシバ 「社長?」 と、ヤナギが俺の顔を見てくるから 折り返す、と言うように伝えると 「今社長外してて、後で折り返すけど。何か緊急なら俺が聞くよ」 『いい』 と、シバは電話をすぐに切った そして、 『っぁ、くそ、でる、』 と、小さな声で呻きながら 両手で股間を抑えてその場に座り込む もう本当に限界なのだろう 「あ、見て、ヤナギ」 「なんですか?」 「シバの手のとこ。スウェットの色変わってる」 「あ、本当だ。出ちゃってんじゃないですか。つか、あそこまで出ててよく我慢しますね、あの子」 スウェットのまま連れてきたのは正解だった シバの手の隙間から見えるスウェットは 濡れて黒くなっていて 多分、もう手のひらより大きなシミが出来ているという事が伺える 「可愛いだろ、そこが」 そろそろ電話してやるか、と 受話器をとり、シバに電話をする すると、 さっきと違い、電話が鳴るという心の準備が出来ていたシバはそこまで驚かなくて受話器の前まで行くけど両手でしっかり股間を握っているから 電話を取れなくてその場でモジモジと腰を振る 『っ、ん、ん、』 ぐ、と息を止め ゆっくりと手を離すシバ そして、どうにか受話器を手に取る 『っは、はい』 「シバ?どうした?電話したろ」 と、全て見ていたのに 素知らぬふりをして聞いてみる 『このドア、あけろ』 その時だ パタパタ、とシバの指の隙間から水が零れ 床に水が落ちた くそ、この音まではさすがに拾えないかこのマイク 「なんで?」 『だっ、だってもう、っあ、っ、ぁ、』 と、シバの小さな声と共に スウェットがどんどん黒く染まって行き 「シバ?どうした?」 『も、もれる、おしっこ、もれるから、!はやくあ、あ、っでてる、はやくぅ、でちゃ、』 ぼたぼた、と水が床に落ちる音が鳴った後 すぐにびちゃびちゃっ、と音を大きくしていく 「ん?なんか水の音聞こえるけど」 『ば、ばか、でたっ、はやく来いよっくそっ』 と、シバは水たまりの上に座り込んだ 「おおお、すっげえ。これは勃つかもなあ」 と、ヤナギがちょっと興奮気味に言う 「よし、とりあえず俺シバ回収してくるからヤナギはデータまとめといて」 「了解っす」 と、後のことはヤナギに任せて 隣のシバの元へ向かった がちゃ、とドアを開けると ドアの目の前に座ったシバが 泣きそうな顔で俺を見上げた 「あーあ、ずぶ濡れじゃねえか」 『それは!お前が!』 「シバ、あっちの鏡見てみ」 と、唐突な俺の言葉にシバは 眉間にシワを寄せ 言われたとおり鏡を見る そして、俺はパチッとリモコンのボタンを押すと その鏡がガラスに変わり 向こうの部屋が見え ヤナギがこちらに手を振っているのが見えた 『はっ、え?な、』 「俺はずっとあっちでお前のこと見てた」 『は!なんで!悪趣味!最悪!』 「言ったろ?モニターって」 『くそ!お前のせいだからな!漏らしたのも全部!』 「わかってるって。シバ」 と、シバの頭を撫でると驚いたように俺の顔を見たシバ 「たくさんおしっこ漏らせて偉かったな」 と、言ってやると シバの身体が 少しだけプルっと震えた そして、不機嫌だった顔が 一瞬晴れる けど、 『そんなんで騙されるわけねえだろ!』 と、すぐにまた俺のことを睨んだ 「ヤナギー、クリーニングの人呼んどいてねー」 と、隣の部屋のヤナギに言うと親指を立てたから ここは柳に任せて 棚からタオルを出しシバの腰に巻いてやる 「小便くせえから風呂いくぞ」 『だ、誰のせいだと!』 中々いい仕事したな、こいつ

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