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第54話

半休にするつもりが思ったより遅くなってしまった また待ってるかな、シバ すこし急いで家に帰ると 案の定シバは玄関で寝ていて 「シバ」 と、揺らして起こすと んんん、と目を擦りながら体を起こす 「こんな所で寝るなよ、風邪ひくぞ」 『……おっそいんだけど』 「悪いって。飯は?」 『食ってない、まだ』 「田中さんつくってったろ?食お。俺も着替えてくるから」 と、シバを先にリビングに行かせて 手を洗い部屋着に着替えてリビングに向かう 「シバ、眠いの?」 と、床に寝転がるシバの腕を引いて立たせる 『ねむい、』 「食わないの?ねる?」 と、ベッドに行かせようかまよってた時だ ぐるるる、とシバの腹から空腹の音が聞こえてきて これは今寝させても夜中に腹減らして目覚ますやつだな、と思いリビング椅子に座りせる 「お、炊き込みご飯じゃん」 と、田中さんが作っていってくれた 晩飯を温める 炊飯機は保温にされていたからご飯はすぐ食えるな 味噌汁とおかずを温め、順に食卓に並べる 『おれご飯よそる』 「おお、起きた?じゃあよそって」 と、酒を持って先に食卓に向かうと シバはごはんを2人分持って 遅れてやってくる 『はい、ご飯』 「うん、ありがとなー。よし、くお」 『うん』 と、箸を持って食おうとすると 何故かじっと見てくるシバ 「…いただきます」 これか?これ言わなかったからか、と 挨拶をしてから 味噌汁から口をつけるけど その間もシバは何故かじっと見てくる 「くわねえの?」 『…くうけど』 いただきます、と小さくいって シバも味噌汁から食べだしたから 食お、と炊き込みご飯に箸をつける うん、うまいなー 久しぶりに食ったな、炊き込みご飯 「……なに?」 と、そこでまたシバの視線を感じて箸を止めた 『……べつに、』 「ふーん?」 なんだ? と、シバはちらちらとこちらを見てくる 「なに、なんかあんの?」 『……ないけど』 「そうか?じゃあお前もちゃんと食えよ」 『うん』 と、シバはご飯を食べ みぞれ竜田に手をのばす 「やっぱり人が作った飯ってうまいよなー」 俺もたまには作るが簡単なものしか作らない ちゃんとした手料理久々に食ったかも 特に最近忙しくてコンビニとか牛丼ばっかりだったからな 『うまい?』 「うん、うまい」 と、いうとシバはなぜか少し笑った 「ごちそうさま」 と、先に食い終わって食器を下げると シバも少し遅れて食べ終わり そのままソファに座った 「シバ、食い終わったの?」 『うん』 「ごちそうさまだろ。食い終わったなら食器下げろ」 『……』 と、なぜかぶすっとしたまま 食器を渡してきた 風呂入るかなー シバも入るかな 「シバ、風呂入った?」 『まだ』 「じゃあ、……」 一緒に入るか、と言おうとして パチン、と手のひらで自分の口を塞ぐ やべ、また甘やかそうとしてた 一緒に風呂はいったら 間違えなく 服をぬがして全身を洗ってやって ついでにちょっと気持ちよくしてやって 抱っこしてバスタブに浸かって シバの素肌を満喫しかねない 『なに、』 「じゃあ……先に入ってこいよ」 『おまえは?一緒に入んないの?』 「あぁ、先は入れ」 『んんん、』 と、ちょっと不満気に風呂に向かったから テレビを付けてソファに座る 「んん、?」 なんだこれ と、ソファに座った所で気づく 「何で俺の枕ここにあるんだよ」 こっちに持ってきて寝たのか?と 枕を手に取るとカバーがかかってないことに気付く 田中さんが洗濯したのかな、と 畳んである洗濯物を確認するが 枕カバーがない どこいったんだ? 後でシバに聞くか、ととりあえずまたそこに枕を戻して ソファのクッションに寄りかかる 適当にバラエティ番組をみて もうちょい飲むかな、と新しいビールを出した時だ 『でた』 と、シバは風呂から出てきて 頭からぽたぽたと水を垂らしていた 「早いな。ちゃんと温まったのか?」 『シャワーだけ』 「なんでだよ、風呂浸かれよ」 『早く出たかったんだもん』 と、シバは俺の前に甘えにきたから 頭を拭いてやろうとシバの肩に掛けてるタオルを取る 「シバ、髪ちゃんと拭け。風邪ひくぞ」 『……なんで、やって』 「自分でできるだろ」 と、タオルを差し出すと ふんっ、と不機嫌に言って 俺の膝の上に座るシバ そんな所に居られたら 頭拭いてやりたくなるじゃん、と シバをおろす 『なに』 「俺も風呂入ってくるから。ちゃんと髪乾かせよ」 と、言い残しシャワーに向かった やっぱり頭拭いてやったほうが良かっただろうか びしょ濡れのまま寝て風邪でも引いたらかわいそうだしな… シャワーだけって言ってたから温まってないようだし と、そこまで考えて また甘やかそうとしてる、と溜息を吐いた ◇◆ 「シバー?」 風呂から出ると シバはリビングに居なくて 寝室を覗くと ベッドに寝ていた 『んんん、なに』 髪もちゃんと乾かしていた なんだ、俺の心配しすぎか 言われたらちゃんとやるんだよな 仕事だって考えてみればちゃんとやってるし と、俺もベッドに寝ようとして気づく 「シバ、俺の枕カバーしらね?」 と、いうと ピクっと肩を動かすシバ 『………』 「なに、知ってんの?」 『……しらね』 いや、なんだその反応 絶対知ってんだろ 「シバ、寝る?」 『なに、寝ないの』 と、ぴょこ、と起き上がり 俺の隣に座り直す かまってかまって、と顔に書いてある 「……いや、寝るけど」 『………ふーん、』 枕半分貸して、とシバの枕を半分取ると 余計不機嫌になる 『なあ、しないの』 「しない、今日はしねえよ」 『なんで』 「お前漏らすんだもん」 『……漏らさねえし』 「シバ、寝よ」 と、布団に入ると シバも俺に背中を向けて寝る しかし抱き枕が無いからか シバはごそごそとずっと動いていて寝れなそうだった 寝れないなら俺にくっつけばいいのに 「……シバ」 『なに』 「寝れねえの」 『……お前が枕とるから』 「お前が俺の枕カバーどっかやったんだろ」 『………』 と、シバは俺の事を無視して 布団の中に潜る 『怒ってんの』 「怒ってねえけど」 『……だったらなんで』 「ん?なにが?」 『……なんでもねえ。さっさと寝ろ』 と、生意気な口をきいた なんだよ、可愛くねえなぁ 甘えてきたら甘やかしてやんのに

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