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第76話
『やだ、なんでいじわるいうの』
「いじわるじゃねえって。お前の為だろ」
『やだ、おれおねしょしたくねえもん。おむつにして』
と、もう恥ずかしいとか言ってられなくなったのか
シバは寝る前に駄々を捏ねる
「なんで、赤ちゃんみたいだろ、おむつ履くの」
『でも、夜中起きれないしやだ』
「おむつの癖治んねえよ」
『そんなの付いてねえし、やだ。よく寝れないだろ』
「シバ、おむつにしてもおねしょはおねしょだろ」
『……じゃあおれもう寝ないし』
完全に機嫌を損ねてしまった
連日の口論に連日の失敗
シバの気持ちも分かるが…
ここの所、シバはおねしょを気にして寝付きが悪い
そして、寝付きが悪いから寝起きも悪い
そのため
夜中起こしても起きられないのだ
元から寝付きも寝起きも悪い方なシバは
最近の睡眠負債でイライラしていた
それは俺も同じだ
シバを起こす為に結局俺も起きるし
シバが漏らしたら片付けてやろうと
俺も起きる
俺は寝付きがいい方だから夜中に起きても別にそこまで不快じゃないが
シバは夜中に完全に目が覚めてしまったら
きっとまた寝るまでに次官がかかるのだろう
「シバ、寝ないってどうすんの」
『お前は寝てていいよ。おれどうせ明日休みだから寝ないし』
「シバ、なに、眠くねえの」
『眠くねえもん』
と、ここまできたらダメだ
もうお手上げだ
ここまでへそを曲げたシバは初めて見た
「シバ、寝ないでなにすんの」
『……テレビ、見てるし』
「シバ、わかったよ。おむつしてやるから一緒に寝よ」
『………』
「シバ」
『……夜も起こさない?』
「……起こされたくねえの?おねしょしちゃうかもしんねえよ」
『おしっこしたくなったら自分で起きるし』
と、全く信用ならない言葉だ
「……わかったよ、今日だけだぞ」
明日からはぜってえおむつ付けてやらないからな、と誓いおむつを取り出す
今日でおねしょ3日目だ
シバのおねしょはだいたい3日続く(最近はもうちょい続く事も多いが)
だから今日を過ぎればシバもちょっとは気分的にもおむつ履かないでも安心だろう
「シバ、ほら、そこ寝て」
『なぁ、赤ちゃんみたいじゃないやつがいい』
と、テープタイプに文句を付けてきたからさすがに俺もムカついた
「シバ、寝る時はこっちだ」
と、もっと赤ちゃんにしてやろ、と
パットを多めに3枚入れてもこもこにしてやる
『なんか、もこもこなんだけど』
「赤ちゃんみたいだな、シバ」
『なんでそんないじわる言うんだよ』
と、シバは膨れてさっさと自分でスウェットを上まで上げおむつを隠したが
スウェットを履いていてもおむつと丸わかりだ
「シバ、自分で外せねえと思うから、夜中トイレ行く時起こせよ。外してやるから」
『自分でできるし、』
と、シバは俺に背を向けて
寝る体勢に入る
「シバ、おやすみ」
と、背中から抱いてやると
シバはおずおずと俺の腕の中で回って
俺に抱きついてくる
最近ガミガミ言い過ぎたよな
本人だって気にしてるだろうし
おねしょしても怒んないようにしよ、と決めて
シバが夜中にちゃんと起きることを祈り
眠る事にした
◇◆
ここの所
寝る前にシバと口論し
夜中にシバを起こして
朝方にシバのおねしょを片付ける
と言うような生活が続いていた為
眠りが深く
朝までぐっすりと寝てしまった
よく寝た、
それはシバも同じようで…
アラームで目を覚まし
シバを起こさないようにすぐ止め
隣りのシバの下半身の様子を見ると
パットをいつもより多めに入れているからか
それとも夜中に起きず、量が多かったのか
パンパンに膨らんでいるのがスウェット越しにわかる
結局シバは夜中に起きてトイレに行くことも
おしっこをして目覚めることも無かったようだ
比較的おしっこしたらすぐ目覚ますんだけどな、シバ
やっぱり疲れていたのか
眠りが深かったのか
起こすか、どうするか迷ったけど
今日はシバは休みだ
このまま寝させてやろう、と
そっとスウェットを下ろして
おむつを外しにかかる
お尻の下にバスタオルを引き
おむつを開き
おしりふきで前から拭いてやっていると
『んんん、』
と、シバが眉間にシワを寄せるのがわかる
あ、起こすか
それともまだ出るのだろうか
おむつを開くと開放感からかよく漏らす事も最近気付いた
「シバ、おしっこでる?」
『でる、んん、』
こんだけ出したのにまだでるのか、と思いつつ
前にタオルを当てるが
シバはがばりと起き上がる
『なんで、』
「起きたの?」
『んん、おしっこ、っ』
と、シバはタオルごとぎゅっと自分の中心を抑える
「でるんだろ、しな」
『や、っ、トイレ、んんっ、』
と、口にはするがもう体は出そうとしているようで
ぷるぷると肩が震えて動けないでいる
「シバ、おしっこしていいぞ。もう間に合わないし、下にもおむつ敷いたままだから」
『んんっ、や、だ、』
と、シバは抵抗したけど
すぐに、ちょろ、と音が聞こえ
タオルと指を濡らして
じわじわと溢れ出す
そのまま見守っていると
はぁ、とシバが熱い息を吐くから
「終わったか?」
と、タオルを取って手を拭いてやると
シバは無言のまま
俯く
「もっと寝る?」
と、この後おむつ付けるかパンツを履かせるか迷って聞くと
首を振るから
使用済みのおむつは引き抜いて片付け
おしりもキレイに拭いてやって
下着を履かせる
「シバ、夜起きなかった?」
『……起きれなかった、』
「じゃあ出ちゃったの気づかなかったか?いつもなら出たら起こすだろ」
『それは……気付いたけど……自分で片付けられなかったから、二度寝した』
「なんで、起こせばいいじゃん。気持ち悪かったろ、濡れたままだと」
『寝てたから、』
と、起きたんじゃねえの、となんの事かよくわからなかったが
俺が寝てたという事だろうか
だから起こせって
『おれが、おねしょしないように、お前も夜も起きて俺の事起こすし、おねしょしたら片付けるの、起きるじゃん』
「…なにが?」
『お前だよ』
「俺が?そんなの当たり前だろ」
『それがやなんだよ』
「なんで、?」
『嫌に決まってんじゃん』
と、シバは不機嫌に膨れて
ふんっ、とそっぽを向いた
え、何これ
反抗期?
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