82 / 180

第82話

「シバー、お待たせ」 と、会議を終え 社長室に戻ると シバはソファで寝ていて 携帯が地面に落ちていたからそれを拾ってやる 「シバ、お待たせ。疲れたよな、帰ろ」 と、揺すって起こす 飯の後 痴漢にあったシバを1人で帰す気にはなれる訳もなく、ただ、今日は15時から会議があった為それには出席をしなきゃいけない だからシバを社長室で待たせていたのだが ここは家と違って漫画などの娯楽は無い テレビはあるが特にDVDとかもなく こんな昼間にシバが見たいようなテレビはやっていなかったようで 一応テレビは着いていたが 付けっぱなしで携帯ゲームとかをしていたのだろう 床に落ちていた携帯画面にはゲームオーバーという文字が表示されていて テレビも普段のシバなら見ない囲碁のチャンネルが流れていた 起きねえから会議の資料まとめちゃお、と テレビを消して机に向かった しかし、すぐにごそごそとソファの上のシバが動き出す 「シバー、目覚めた?」 『んんん、おきた、』 「そっか、帰る?」 『おまえは?』 「帰るよ、一緒に」 『じゃあかえる、』 と、ソファから起き上がって伸びをする ちんこたってんなー 寝てたからしょうがねえけど と思いながらテントを張ってるシバの中心をちらりと見る 『おしっこでそう、してくる』 と、ドアの方に歩いていくシバ 「は?それで?」 『なに、それでって』 「たってんじゃん。誰かと会ったらどうすんの」 『……寝てたんだからしょうがねえじゃん。漏らすよりいいだろ』 と、気にする様子もなく さっさと社長室を出ていったシバ あいつさっき痴漢にあったってのに危機感が足りねえんだよなあ 俺も一緒に行こうかと思ったが さすがにトイレまでついて行ったらウザがられるかな、と大人しく社長室で待つ 大丈夫かなー、と過剰な心配をしていたようで シバはなんともない顔して帰ってきた 『おさまった』 と、おしっこしたからか 勃起は収まったようだ 「うん、間に合ったか?」 『間に合った』 と、いうシバの中心は濡れたりなどもしてなくて とりあえず安心する 『ねえ、抱っこ』 「今無理だって」 『んんん』 「膨れんなよ」 やだ、とシバはまたソファに座る 『なぁあ』 「ちょっとだけだぞ」 ほら、おいで、と 隣に座って腕を広げると シバはすぐに上に乗ってきて いつものようにすんすん、と匂いを嗅ぐ 『なあ、何してたの?』 「何って会議だよ」 『いっぱい人いた?』 「まぁ、10人くらい」 『ふーん、』 こんな所でこんなことするぐらいなら 早く家帰って存分に甘えさせてやりてえんだけどなあ よしよし、とシバの背中を撫でて好きにさせてやる 「ちょっとは落ち着いたか?」 『なにが、』 「抱っこして落ち着いたかって」 『……うん』 「じゃあ帰ろ。家でいっぱい抱っこしてやるから」 『……子供じゃないし』 と、今更過ぎることを言うが それはスルーしてやる 「ちょっとヤナギに書類だけ渡して帰るから」 『うん』 と、荷物を持って社長室を出て鍵をかける シバも大人しく後を着いてきて ヤナギのディスクに向かうと シバは今日休みだからか他の人に会わないようにコソコソしていた いや、会ってもいいとは思うけど 仕事モードじゃないシバはものすごく人見知りだ 「あ、社長。今日はもう帰りますよね」 「あぁ、一応家でも続きやるからなんかあったら連絡ちょうだい」 「りょうかいっす」 『お疲れ様です、』 と、ヤナギしかこの部屋に居ないことがわかったのか扉の影からひょっこりと顔を出してあいさつするシバ 「シバくんももう帰るよね。おつかれー。またあしたね」 と、ヤナギはさっきのことはスルーしてくれて シバにもサラッと挨拶をした 『はい』 と、さっきの痴態を見られていたなんて知らないシバは普通に返事をして 「シバ、かえろ」 と、シバの背中を押して エレベーターに乗った 『……ヤナギさん』 「どうかしたか?」 『おれ来てた事知ってたのかな、』 「……あー、パソコン忘れたから後でシバに届けてもらうってヤナギに言ったから」 『そっか』 と、さっきのオナニーをまさか目撃されてるとは思っていないシバは納得してくれたようだ 「シバ、飯とかどうする?まだ早いから一回帰ってから考える?」 『んんん、冷凍うどん』 なるほど どこにも行かず甘えたいやつか 「それだけで足りんの」 『アイスもあるし』 適当に冷蔵庫漁るしかないやつだ、 直帰コースだな、これは 『はやく家帰りたい』 「分かってるって」 と、今日のシバは元気がない やっぱり あんな事があったから落ち込んでいるというか疲れているのだろう 車に乗り込み シバがシートベルトを付けたのを確認する 「あ」 『なに?』 と、シバが俺の声に反応して振り向いた そこで ちゅ、とシバの唇に 触れるだけのキスをする 『な、んだよ、きゅうに』 「いや、べつに?シバにキスしてえなって」 『……ばかじゃねえの』 「いいじゃん。帰ったらもっと甘やかしてやるから楽しみにしとけよ」 と、いうと シバの顔が少しだけ赤くなる なんだ、そんな今更純情みたいな こっちが恥ずかしくなるだろ

ともだちにシェアしよう!