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第92話

「シバ、車買いに行くんだろ。そろそろ起きよ」 と、シバの肩を揺らすと んんん、とまだ眠そうに寝返りを打つ もう10時過ぎてんのに 夜中に1度起きたのは多分まだ暗かったから4時くらいだろう 俺は、7時過ぎくらいには起きたがシバはずっと寝ていて起きてこない そろそろトイレも心配で起こしたが なかなか起きてこようとしない 「しーばー」 『んんん、なんで、』 「あ?なに?」 『なんで、しってんのぉ、』 「なにが、」 『くるまかいにいくって、』 「いや、お前寝る前言ってたじゃん」 『そうだっけ』 と、シバはゆっくり起き上がって当たりをきょろきょろと見回す そして、忘れていたのか スウェットを履いていない事に気付き 急いで毛布を引き寄せて下半身を隠した 「シバ、おしっこでてる?」 『……』 「見せて、」 と、毛布をめくって中を見るが そんなに膨らんでいる様子は無い 『でてない、』 と、さすがに2回出しているからしなかったか 『でも、またお腹の下パンパンになってる』 「んじゃ、早くトイレ行ってきな」 と、シバを送り出し 俺は夜中にシバが汚したから とりあえず水に付けておいたタオルを洗おうと 風呂場でじゃぶじゃぶと水を流す しかし 『なぁあ、』 と、トイレの方からシバの声が聞こえた 「なに、よんだ?」 『これどうやって脱ぐのー?』 あれ、シバってテープタイプ自分で脱いだことなかったっけ 「テープ剥がしても破ってもいいから好きに脱ぎな」 と、風呂場から大きな声でシバに言うが 『できないー!なぁあ、やってえ』 と、駄々を捏ねるような声が聞こえてくる これは本当に出来ないんじゃなくて 寝起きで駄々捏ねてるだけだな、と 先にバスタオルを優先させることにして じゃぶじゃぶとバケツに入れたタオルにお湯をかけ除菌用漂白剤をいれる事にする 『なぁあ、もれる、もれちゃうからはやくぅ、』 「シバ、自分で出来るだろ」 『やだ!やって、ねえ、』 と、これは俺が行くまで絶対に自分でやらないんだろうな、とため息が出る こっちはシバが汚したタオルを洗ってるというのに というかご機嫌が斜めという事だな、これは 寝起気で機嫌が悪いだけだろうけど 「シバ、じゃあちょっとだけ待ってろ」 しかし、シバはいつの間にかこっちに来ていて 俺の後ろにしゃがんだ 『なにしてんの』 「お前が夜中に汚したタオル洗ってんの」 『………おれだって汚したくなかったのに』 と、シバはおむつの前を揉みながら言った 「シバ、おしっこ漏らすぞ。トイレ行っといで」 『やだ、ここでする』 「なんで、」 『んんん、だって、おむつ履いてるから』 「シバ、おむつはトイレじゃねえよ。おしっこしちゃダメなとこだ」 『なんで?』 と、しゃがんだまま俺の背中に おでこをすりすりと擦り付けてくる 「シバは大人だろ。おむつでおしっこすんのは赤ちゃんのする事だ。前はトイレでちゃんと出来てたろ。最近トイレ間に合ってないだろ?」 『…なんでそんな意地悪言うんだよ』 「だってシバ、おむつおもらし好きになってんだろ」 『なってない、』 「ほら、シバ。オムツ外してやるからトイレ行っといで」 『うん、』 と、シバのおむつを外そうと テープに手をかける 「シバ、手退けなきゃ外せねえけど」 『むり、今手どけたらでちゃう、』 「……だから言ったろ。早くトイレいけって」 『だって、おまえが、』 「俺がじゃねえだろ、お前がわがまま言ったんだ。ほら、じゃあここで俺の前でおしっこしな」 『できない、』 「シバは赤ちゃんだから出来るだろ。ほら、どうやっておしっこするか俺にちゃんと教えて」 『んんん、できない、やだ、』 「なんで?もうおしっこ出ちゃうんだろ?」 『や、っ、』 口では拒否するもののすぐにビクリと身体を震わす 「どうした、シバ」 『んんっ、おしっこ、っ、してる、』 「シバ今おしっこしてんの?なんで?」 『お前が、っん、で、てる』 「俺が?」 『おれが、がまん、っんん、わざと、んんっ』 「わざと漏らしてんのか?」 『おむつ、っ、あったかく、なるぅ、』 「シバ、なんでおむつでおしっこしてんの?」 『おもらし、っんん、しちゃった、』 「それじゃあまるで赤ちゃんだな、シバ」 『ちがっ、ぁっ、はあ、…ぜんぶ、でた、』 「赤ちゃんだからおむつにおしっこしても恥ずかしくないもんな?」 『ちがう、し』 と、ぐぬぬ、と下唇を噛むシバ いや、今回はシバががわがまま言ってたからな ちょっと虐めてやろ 「ほら、赤ちゃんだからきれいきれいしようなー」 『赤ちゃんじゃねえもん』 「赤ちゃんじゃねえならこんなギリギリになる前に俺に外してもらいに来れんだろ?」 『んんん、赤ちゃんじゃねえもん』 「じゃあ次からはおむつでおしっこすんなよ」 『…わかってるし』 「よし、じゃあ外してやるからシャワー浴びな。あ、赤ちゃんだから俺が洗ってやるか」 『赤ちゃんじゃねえし……でも、洗って』 と、おずおずというシバのおむつを外してやってそのままシャワーで流す 「もうおしっこ無いか?」 『ない、全部した』 「じゃあシバの赤ちゃんちんぽ洗うからな」 と、洗うために軽く擦りながら いうとシバはまたむ、とした顔をする 『赤ちゃんちんぽじゃねえし、ちゃんとごしごししたら大きくなるし』 と、自分で扱こうとするから手を捕まえて止める 「冗談だって、今やったらまた出かけられなくなるだろ、ほら、キレイにするだけな」 と、ボディソープで洗う間も シバは膨れていて ちょっと虐めすぎた 「シバ、上濡れないように抑えてて」 服の裾を持たせると ぺろん、と腹と胸の間くらいまで上げる 「そう、上手だ」 と、この姿はさすがに大人とは言えねえな、と思いながらキレイに身体を洗ってやる 「赤ちゃんじゃないから着替えはパンツでいいな?」 『当たり前だし、』 と、シバの返事を聞き 身体を拭いて下着を履かせてやる お尻がスッキリしたからか上機嫌のシバは 俺の横に座り込み バケツに入ってるバスタオルを見る 『あれ洗濯機いれんの?』 「漂白終わってからなー」 『ふーん、なんで?』 「臭いとか汚れ残ったらやだろ」 『うん。ひょうはくしたら残んねえの?』 「そうだな」 『おれのよごしたやつ、いつもそうやってたの?』 「まぁ大体なー」 『へえ、大変なんだな』 「他人事かよ」 『……申し訳無いとはおもってるよ』 「…いいって、別に。おまえが気にしなくて」 『なんで?』 「俺が勝手にやってるだけ」 『ふーん、…前から思ってたけどさ』 「うん」 『なんでお前家事できんの?』 「まぁ普通に一人暮らししてたら出来るだろ」 『…そうなの?』 「まぁ昔から親の手伝いとかもしてたしな」 『へえ、』 と、シバはわからないという顔をした まぁ、昔はハウスキーパー雇うほど金も無かったしな 「お前はなんも気にしなくていいんだよ。飯食いに行く?」 『うん』 と、さっきまでぐずっていたのは忘れたように ご機嫌に立たせてぇ、と手を伸ばしてきた まぁ、俺の前以外ではちゃんとしてるし 俺の前では赤ちゃんでもいいか…

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