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第93話

買う車は何気に即決で 多分何となく欲しい車は決めていたんだと思う 結構高価な車選んだよな どんなんでもいいと言う割に 「というか、駐車場契約しなきゃな」 『駐車場?』 「俺ん家の地下。1台分しか契約してねえから」 『そうなの?おれやる?』 「いいよ、やっとく、それぐらい」 『うん、お願い』 と、言ったのに何やらちょっと考える そして、 『おれ、駐車場代払う』 と、不意に口にした 「なんで?」 『なんでって、おれの車だし。頭金出してくれたし』 「いや、そんな今更いいだろ」 『よくねえもん。おれ働いてるし』 「そうか?じゃあ毎月俺に渡して」 『うん』 と、ちょっと自立する気になっているのか 寂しいような嬉しいような言葉だ 「飯食って帰ろ」 『うん』 と、2人で俺の車に乗り込む 「シバ、おしっこ大丈夫か?」 『うん、さっき行ったばっかり』 よし、じゃあ行くか、とエンジンをかけた 『なあ、おれ赤ちゃんじゃないけど』 「しってるぞ、それぐらい」 『わざわざおしっこ確認しなくても大丈夫だし』 「悪い悪い、心配しすぎたな」 と、朝赤ちゃんと言われたのがまだ気に食わないようでいちいち訂正してくる ただ、わざわざ確認しないと心配ではある 飯適当でいいかな、と 帰り道で寄れそうな所に寄ることにして車を走らせていると すぐに眠そうにうとうとと頭を揺らし始めたシバ こいつ車だとすぐねるよな、と思いつつ 運転をし 家の近くまで来て適当なファミレスに駐車した時だ ごっ、と音がしてシバの方を見る 『んん、っ』 「なに、ぶつけた?」 『ぶつけた、』 と、ぶつけたらしい所を抑えてて 涙目になっている どうやら頭を揺らしていたせいで窓ガラスにぶつけたらしい 『んんん、いたいぃ、』 「ばかじゃねえの、大丈夫?」 『んんん、いたい、んん、すげぇぶつけた、』 と、泣きそうになっていて そんな痛かったのか、と思いながら シバの抑えているところを撫でてやる 「ほら、大丈夫。何ともなってねえから」 特にコブなどは出来てなくて、寝て起きたから不機嫌なんだな、と ぐしぐしと撫でてやるがシバは んぐぐ、と不機嫌に唸っていた 「まだ痛いか?」 『んん、痛い、』 「ファミレス着いたけど」 『だって、ぶつけたし』 いや、知ってるけど と、ぐしゃぐしゃ撫でていても シバはまだ車から降りようとしない 「ほーら、シバ。」 と、ぶつけた所に手を置いてやると シバは俺の顔を見た 『なに、』 「痛いの痛いの飛んで行けー」 と、もう一度軽く撫でながら言ってやると 1度きょとん、と俺の顔を見たあと ふはっ、と吹き出す 『なにそれっ、』 「お前が痛いって言うからだろ」 『だって痛かったんだもん。はー、おかし。似合わね。腹減った、ハンバーグくう』 「そうだな、行こ」 と、散々笑われてちょっと照れくさいが一気に機嫌が治ったシバを連れ車から降りる んだよ、どこが赤ちゃんじゃねえんだよ こんぐらいで機嫌直しやがって 「……」 『なに、その顔』 「いや、痛いのなおってよかったなーって」 『治ってないけど我慢してるだけ』 「そうか?」 どうやら治ったのは機嫌だけのようだ 「お前って俺と暮らす前も赤ちゃんだったの?」 『だから赤ちゃんじゃねえっていってんじゃん!』 「まぁそうだけど。俺と暮らす前もそんなすぐ泣いたのかなって」 『おれ基本的に泣かねえけど』 そうだっけ、と思いながらも 自覚ないんだろうな、とスルーする 『お前は何食うの?』 「何にするかなー」 『なぁ、いっつもおれの食いたいもの聞くけどお前は食いたいのとかないの?』 「まぁ俺は食えればなんでも。それにお前に聞かないで勝手に俺も買って帰ることあるだろ?」 『そうだっけ?』 「そうだよ」 まぁ、多分シバも与えられるもの適当に食ってんだろうな 「お前に米炊いといてって言う日とか」 『あー、そうかも』 「だろー?」 店内に入りメニューを見ると シバは早々に ハンバーグ、とチーズの乗ったハンバーグを指さす 「ドリンクバーは」 『いる』 と、俺のチキンステーキと一緒に注文する 『ドリンクバー何がいい?』 「アイスコーヒー」 『んー』 と、シバは取ってきてくれるらしく タバコを吸って待つ 「おー、ありがとう」 と、コーヒーを受取り飲むと シバは白ぶどうにしたのか それを飲み始めた 「うまい?」 『うまい。ここはこれがいちばんうまい』 「へえ、」 『お前、甘い物食わないし飲まないよな』 「まぁあったら食うけど」 『甘い物食った方が幸せじゃん?』 「太るだろ」 『おれ太ったことないからよくわかんない』 「まぁお前そんな感じだよな」 『だから筋肉も難しい』 「肉食って体鍛えたらつくって」 『ええ、』 まぁ、俺は筋肉付きやすいけど 気抜いたらちょっと太ったりするしな シバはどちらかと言えば細め まだ未発達な感じがある つか、気の所為じゃなきゃ身長伸びてるよな 「シバ、今度の休み一緒に健康診断行くか」 『なんで?』 「いや、会社でそろそろ時期だし。あとお前の身長測りたい」 『別にいいけど。おれ身長175センチだよ』 「絶対伸びてるだろ。それいつ測ったやつ?」 『この前の職場の健康診断だから去年くらい?』 そう言えば シバと一緒に暮らし始めてそろそろ1年だ 時間流れんのって早えんだな 飯を食い終わって 会計をしていると シバはちゃんとトイレ行ってくる、と自分で言い出して シバのトイレが終わったら 2人で車に乗りこむ 『なぁ』 「なに」 『ちょっと疑問なんだけど』 「おう」 『なんでお前はトイレ行きたくなんねえの?コーヒーばっかり飲むくせに』 「いや元からそんな近くねえし」 『なんで?』 「なんでって、体質?それにお前みたいにギリギリになる前にちゃんと行くし」 『おれもちゃんといってんのに』 「まあ俺トイレ行きたくなってから5時間は我慢できるし」 『死んでんじゃねえの、膀胱』 「生きてるわ」 ずりー、とシバは窓の外を見た 「窓気をつけろよ。また頭ぶつけねえように」 と、頭を少し撫でると シバは笑った 「なに、何笑い?」 『いや、さっきの思い出した』 「さっきのって?」 『いたいのいたいのとんでけ』 「そんな面白かった?」 『うん。またやって』 またやってって、 やっぱり赤ちゃんじゃねえかよ まぁ、そんなに気に入ってんならまたシバの機嫌が悪い時にやるか

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