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第100話

なんだろ、これ、と 来ていた封筒を開くと この前の健康診断の結果で まずは自分の方を開いて見ると まぁ体重が少し足りないくらいで他には問題なかった 体重はめちゃくちゃお腹すいてたせいだしセーフ、と納得をして もうひとつの封筒も開ける あいつの分だ さらっとそれにも目を通すと どこも悪い所は無くてとりあえず安心する まぁ見るからに元気そうだしな と、それを封筒に戻そうとした時に 『あ、』 これ、と ある事に気付いてしまった そういえばそろそろだっけ、 忘れてた 「シバー?何見てんの?」 『健康診断の結果』 と、すぐに封筒を渡すと 「って勝手に開けてるし」 『いいだろ、別に』 「どうだった?結果」 『まぁ普通』 「まぁいいか」 と、自分でも封筒の中身を確認し軽く目を通すだけですぐにしまった 『なぁ、なんか欲しいものねえの?』 「なに、いきなりってあれか。誕生日?見たのこれ?」 と、健康診断の紙の生年月日が書いてある欄を見せてくる さりげなく聞き出すつもりだったのにいきなりバレてしまった、 『……ふん』 「え?なに、祝ってくれんじゃねえの?ええ」 『祝うけど。何が欲しいの?』 「そうだなあー…特に…まぁシバと一緒に過ごせればいいかな」 『なんだよそれ』 「いや、欲しいもんあったら自分で買うし」 『……明後日、お休みにしてる?ちゃんと』 「どーだったかな」 『おやすみにして。おれはまぁ、シフト見たら休みだったし』 「じゃあ明日しとくから。あ、お前あそこのケーキ好きだったよな?あのお前の誕生日の時に買ったやつ。またあそこでケーキ買うか」 『うん、くいたい』 と、頷いた所で 俺の誕生日じゃねえし、と気付く 『おれが買いに行くから』 「そうか?じゃあ任せるな」 『ケーキ、どれが好き?』 「ショートケーキとかよりあんまり甘くないやつかな」 『甘いのすきじゃねえの?』 「嫌いじゃねえけど控えめのやつのが好き」 『ふーん、……なぁあ』 「なに、」 『なんで言わなかったんだよ、おれ知らなかったの』 「いや、別に?お前だって言わなかったろ」 『まぁ………おれは、ペットだし』 「ばかじゃねえの、飼い主にはペットの誕生日祝う義務があるんだよ」 『……そんなん、お前ばっかりずるいじゃん』 「悪かったって。教えなくて」 『うん』 と、結局欲しい物は分からなかった ◇◆ 「シバくんごめんねー、明日社長どうしても昼過ぎまで抜けられない会議入れちゃってて。午後には必ず帰すから」 と、昼休み前にヤナギさんに謝られた 『あー……そうなんですね、いや、あいつがさっさと休みにしなかったのが悪いんで』 「オレも忘れてたから会議おっけーしちゃってたよー、社長の誕生日」 そんなん、あいつがわるいけど ちゃんと、お休みほしいって言ったみたいだから許して上げることにした 「シフト作った時は覚えてたからシバくんはちゃんと休みにしといたんだけど」 ヤナギさんは、誕生日知ってたんだ あいつの、 『…ありがとうございます』 「誕生日プレゼントとか用意したの?」 『…あいつ、欲しいものないっていうから』 「あー、まぁ、そうだよね笑。でも社長、シバくんと一緒に居れればいいんじゃないかな?」 『そんなの、』 おれ、なんもできないじゃん。 おれの誕生日の時にはいっぱい祝ってくれたのに プレゼントも、 ごはんも、 ケーキも 『……ヤナギさんは、誕生日プレゼントとか欲しいものありますか?』 「プレゼントねー…なんだろ、ロボット掃除機とか?」 『あの床の上勝手にするやつ』 「うん、それ」 『ロボット掃除機、』 「まぁ、社長は家事代行雇ってるし元からキレイ好きだからいらないかなー。あの人掃除好きそうだし」 『…うーん、』 「あとは、ネットとかで調べるしかないかな、万人受けするプレゼント」 『ネット、そうですね』 「力になれなくてごめんね」 『そんなこと、ないです』 と、昼休みにでも調べるか、と 仕事に専念をすることにした 昼休みになり ヤナギさんが言っていた通り ネットでちょっと検索してみた けどイマイチピンと来るものが無くて んんん、と唸る あいつ、なにが欲しいんだろ あいついっつもおれのことばっかりだし おれの欲しいものばっかり与えてくるし おれがして欲しいことばっかりしてくる あいつ、して欲しいこととか無いのかな、と 少しだけ考えて 『あ』 と、ある事に思い当たった いや、さすがに、 いや、でも他に特に他に思い当たらないし 誕生日だし…、 仕事の後に買いに行くか

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