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第125話

おまえは、おれの飼い主だろ!あきらくんばっかり構ってんじゃねえよ!ばか!しね! シバに言われた言葉が頭の中をグルグルと回っていた 俺、そんなあきらくん構っていたか? いや、確かにシバが心配だからあきらくんの送迎代わったり 昨日もシバの前であきらくんのおもらしの片付けもした よく考えたら シバがめちゃくちゃ甘えてきたり おもらしが増えたのは決まって俺があきらくんに関わっていた時だった 昨日も俺があきらくんに構ってる時おもらししたし、帰ったあともずっと泣いていて トイレにもほぼ行けず 寝る時だって甘えるように俺の指をしゃぶりながら寝ていた そんなにシバを不安にさせていたのか、とめちゃくちゃ後悔する あの後シバは俺を避けていたのか 3回目の送迎に行って 顔を合わせていない 仕事が終わり、 少し遅れたがシバを迎えに行くと 「社長?どうしたんすか?」 「シバは?」 「シバくんならもう帰ったから社長の所行ったと思ってたんですけど」 「いや、来てねえ」 シバの出退勤を見ると既に退勤にされていて まさか先に帰ったのか?と受け付けで聞くと タクシー乗っていったと言っていたから 先に帰ったのか、と俺も急いで車に乗り込んで 家に向かう しかし、家に着き 外から窓を見ても電気もついてなくて おかしいな、と急いで部屋に向かうと 鍵が開いていて 「シバ?」 と、声を掛け電気を付けると ソファの上でもぞりと動いたシバ 「お前、先帰んなよ」 『……仕事、終わったから』 と、ソファに突っ伏したまま答えるシバ 「今日一緒に帰ろって朝話してたろ?」 『……だって、』 「シバ、おいで。抱っこしよ」 『……やだ、』 「なんで?抱っこやなの?」 『………やだから、』 「シバ、怒ってる?」 『……怒ってない』 「じゃあ顔見せて」 『やだ、』 と、クッションに顔を埋めて ぐすぐすと鼻を鳴らしていた 「じゃあシバ、そのままでいいから聞いて」 と、シバの寝るソファのすぐ横に腰を下ろし シバの頭を撫でる 『………、』 「嫌だったよな、あきらくんの事構って。でも俺はシバがあきらくんに意地悪されんのやだったからあきらくんの送迎代わった」 と、理由を伝える シバは黙ったままだったが続けて話していく 「言い訳に聞こえるかも知んねえけど、」 『………おまえ、』 「ん?何?」 『おまえ、もう、おれのこといらなくなったんだろ、』 「は?なんで?」 『あきらくんのほうが、いいんだろ?』 「んなわけねえだろ!何ばかな事言ってんだよ!」 『だって、』 がばっと、起き上がったシバは 目が赤くなっていて ぐすぐすと鼻を啜っている ずっと泣いていたのだろうか、 かわいそうな事をしてしまった 「シバ、おいで。抱っこ」 『やだ、』 「やだじゃねえ。ほら」 と、シバの腕を引いて 膝に乗せて 抱きしめ背中を撫でる 「シバ、俺がお前をいらなくなることなんて有り得ねえ」 『なんで、』 「お前だって分かってるだろ、俺はお前の飼い主だ」 『……あきらくんの方が、いいんじゃないの?』 「俺がいつそんな事言った?」 『だって、あきらくんのおもらし片付けした、』 「あれは目の前で駄々こねられたらほっとけなかったからだろ…でも、お前が嫌ならもうあきらくんや他のやつの片付けもしねえ」 『やだった、すごくやだった』 「ごめん、シバ。もう絶対やんねえから」 と、このシバの言葉で気付く シバにとっておもらしの片付けは 俺に対する甘えと信頼で それを他のやつにやられたら嫌に決まっていた それなのに、俺はシバの目の前で他のやつにするなんて 有り得ない行動だった 「シバ、ごめん。お前は俺ものだし、俺はお前のものだ」 『……うん、』 「約束する。俺は絶対お前の事いらなくなんねえし、お前以外がおもらしして駄々こねたってもう片付けしないから」 『……うん、』 と、シバはぐすぐす泣きながら 俺に抱きつきぐりぐりと頭を擦り付けてきて シバのそのいつもの行動に少しだけ安心した 許して貰えたのだろうか、 『おれ……、』 と、シバがぽつりとつぶやき 背中を撫でる手を1度止める 「なに、どうした?」 『おまえに、しねって、言った、』 「あー、うん、」 『そんなこと、言っちゃダメだったのに、』 「大丈夫、死なねえし」 『…ごめん。死んじゃやだ。ずっとおれと一緒にいて』 「分かってるよ、シバ」 『やくそくだよ、』 再びよしよし、と背中を撫でると 安心したようにシバの身体から力が抜けた 間もなく じわわ、と何となくシバが乗っている辺りが暖かくなってくる そして、 シバの身体がふるり、と震えた 「しば、……おしっこでたか?」 『……え?、あ、』 と、無意識におもらしをしてしまったようで 俺に言われてパンツの中が濡れている事に気付いて顔を赤らめる 「シバ、キレイにしような」 『……うん、』 と、目を逸らしながら頷き ちょっと考えて 『おれ、おもらし、しちゃったから……、おれのおもらしちんぽ、タオルでキレイにして…、?』 と、かわいらしくおねだりをしてくる 「シバ、ちゃんと言えてえらい。シバすげえいい子」 と、俯いているシバのおでこにキスをすると 更に耳を赤くした 「すぐにキレイにしような」 と、ソファにタオルを敷いてシバを座らせて ベルトを外した あー、スーツちょっと濡れちまったな、 『…、なんか、おまえに、よしよしされたら、おしっこたくさんでた』 「シバ俺によしよしされんの好きだもんな」 『うん、すき』 スーツはクリーニングに出すとして 濡れてしまったヒートテックとおもらしパンツを脱がせ すぐにタオルを熱めに濡らして シバの下半身を拭いていく 「熱くねえ?」 『きもちい、』 「シバ、おむつとパンツ、どっち履く?」 『ゴムの所、青いやつがいい』 「お気に入りのパンツな」 と、久しぶりに普通のパンツを履くようで ちょっとおもらしが心配になったが いくらでも片付けてやればいいか、とお気に入りのパンツを履かせてやることにした お気に入りのパンツを履いたシバは すっかり泣き止んでいて でも甘えるように俺の隣にぴたり、とくっついてくる 「シバ、俺もお前の事よしよしすんの好きだよ」 と、シバに伝えると ふへ、とシバはようやく笑顔を見せた 『あれだな、そうしそうあい?』 そんなの、今更だろ?

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