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第126話

「よっ、いおりん」 と、仕事が終わり 今日は1人で帰らなきゃ行けない日だったから 帰ろう、と下の階に降りると 何故か受付の所で待っていたあきらくん 『あきらくん、どうしたの?なに?』 「いおりん仕事終わりだよね?」 『え、なに』 「よし、いおりん行こー」 はやくはやく、と何故か急かしてくるあきらくん 『え、ちょ、おれ車だけど、』 「車?ちょうどいい。いこー」 と、車まで着いてきて 「オレ今日ジャンバラヤ食べたかったんだよねえ」 と、ファミレス行こ!と 勝手にカーナビをセットする 『え?仕事は?』 「今日はもう終わりだからいおりん待ってたんだよ」 『ええ、なんで、』 「なんで?ご飯行こうと思って」 『だっておれあきらくんとべつに行きたくねえもん』 「なんでそういうこと言うのー?友達じゃん。ほら、行くよ」 と、あきらくんはおれの言うことを聞かずに おれは言われるがまま車を運転して ファミレスに向かった ファミレスに着くと あきらくんは 行こーとおれの腕を引いて店内に入るから おれも引きずられるように入っていく 「オレ、ジャンバラヤとドリンクバーね。いおりんは?」 『……チキンステーキとドリンクバー』 と、あきらくんが2人分注文して 出てくるのを待つ 「いおりん……ごめんね。オレいおりんのやな事したよね。だからいおりんの事怒らせちゃったね」 と、急に真剣な顔で言われて 少したじろいでしまう 『……怒ってないし』 「いおりんオレの事嫌い?」 『どちらかというときらい』 あきらくんから目を逸らして おしぼりの袋を破る なんで、あきらくんはおれに構うんだろ あいつの事はもう仲直りしたからいいけど それでもあきらくんは怖いんだ おれより、色々ちゃんとできるし きらいっていうか あきらくんといると自分が嫉妬してるのが凄くわかる だから、あきらくんといる時のおれがきらい 自分がきらい 「なんで?社長に甘えたから?」 『あきらくん、意地悪ばっかりするから』 「だって社長がいおりんに優しくしててオレ羨ましくなっちゃったんだもん」 『……あきらくんがおれを羨ましくおもうの?』 そんなの、意味がわかんなかった おれからしたらあきらくんの方がうらやましいのに 「当たり前じゃん!いおりんが羨ましかったから意地悪したんだよ!社長にいつもおもらし片付けてもらって、柳瀬さんにも構ってもらって」 『……それは、』 「うん。でもオレいおりんに嫌われたくないからもう社長に甘えないし、意地悪もしない。約束するからもうオレのこと嫌いにならないで」 『……なんで、』 「だっていおりんとは友達でしょ?友達が嫌な事はもうしないよ」 散々、色々された気もするけど 『あきらくんおれのことが嫌いだから意地悪するんじゃないの?』 「え?いつオレがいおりんの事嫌いって言った?」 『……だって、オレにばっかり意地悪するから嫌いだとおもってた』 「だからそれはいおりんが羨ましかっただけだって言ったじゃん。おもらし片付けてもらうの気持ちいいし。でも、いおりんが悲しくなっちゃうならもうやらないよ」 『……』 そんなふうに言われちゃうと おれがすげえ心狭い気がして 恥ずかしくなった たしかに、あきらくん嫌いって言ったけど 八つ当たりだったし 『あいつが、約束してくれたんだ』 「なんて?」 『もう、おれ以外がおもらししても片付けないって』 「うっわあ、やっぱり羨ましいしラブラブじゃん。でも、仲直りできてよかった。オレのせいでケンカさせちゃったし。だから今日はいおりんにごめんねって言おうと思って来たんだ」 と、おれの心配までしてくれて きらいって言ったのも 勝手に嫉妬したのも 申し訳なく感じてきた 『……あきらくん、ごめん。きらいって言って』 「オレのこと嫌いじゃなくなった?」 『…うん、おれ、あきらくんが羨ましかったからきらいっていった』 「いおりんがオレの事羨ましいって思うなんて贅沢だよね」 『……だって、おれ、……おもらしするし、おねしょだって、……しちゃうから、』 「いいじゃん!そこがいおりんのかわいい所じゃん!」 『やだよ!こんなの、あいつになんもできないって思われるじゃん、』 「そんなの気にしなくていいと思うよ」 『おれは、気にするんだ、だからあきらくんが羨ましくて、八つ当たりしてきらいって言った、ごめん』 「でもそれならよかったぁ、オレいおりんと友達でいたいから本当に嫌われたら悲しいもん」 『……あきらくんって他にも友達いそうなのに、なんでおれに構うの?』 「え?他にも友達いたとしても、いおりんは1人しかいないからいおりんには嫌われたくないし。当たり前でしょ?」 『……よく、わかんない。おれあきらくんの他に友達いないし』 「へええ、まぁ、知ってたけど」 と、あきらくんは何やらにやにやした 「オレはこれからもずぅぅっといおりんと友達でいてあげるから安心してね」 『……頼んでないけど、』 「いおりんは友達ってものを少し知った方がいいと思うよ?」 『なにそれ、』 おれだって、友達くらいいたことあったけど ………今はいないけど。 「あ、ドリンクバー取りに行ってないじゃん!いおりん何飲む!」 『えっと、白ぶどう』 「取ってきてあげるね!」 と、あきらくんはドリンクバーを取りに行った 友達って、こうやって仲直りすんのかな?

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