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第147話

『ついたぁ』 ようやく着いた、 30分に1回ペースでトイレに寄って行ったから シバはおもらしをすることも無く 無事に到着した まぁ、時間は倍以上かかったが サービスエリアに寄って買い食いしたりとか シバが楽しそうで良かった 『お前の家?』 「そうだよ」 『たちばな』 と、表札に書いてある名前を読むシバ 「母親の旧姓なー。母親の実家にマスオさん方式で住んでたんだよ」 『マスオさん?』 と、わかってないシバに説明する 「普通に婿養子じゃないけど、母親の実家の家に住んでたって話」 『ふーん』 と、わかってんのかわかってないのかシバは頷いて 荷物と枕を持たせる 「行くぞー」 と、おれも多めの荷物を車から下ろして インターフォンを鳴らして 母親の声が聞こえたから 「俺ー」 と、返事をして 玄関を開ける 「お帰り、遅かったわね道混んでた?…一緒に、住んでる…子?」 と、母さんはひとしきり挨拶した後 シバの事を見つけて 首を傾げる シバもぺこり、と頭を下げる 「あらあらあら……荷物多いから早く置いてきなさい。ほら、あんたの部屋案内してあげて」 と、言われてシバを部屋に連れていく すると 「……ちょっといいかしら?」 と、俺の事を呼び寄せる母さんに なんだよ、と部屋から出て階段から降りる 「あんた、あんな大きい子だったの!?」 「あ?そうだよ、言ってなかったか?」 「言ってないわよ!てっきり小さなお子さんかと思って……私……こんな可愛いお茶碗買っちゃったわよ!」 と、はら○こあおむしのお茶碗を見せてくる 「……いいよべつに、はらぺ○あおむしでも」 「だって、あんた……お子様ランチとか……おねしょとかいうから」 「……それは本当だから。本人も一応気にしてるし恥ずかしがると思うから言わないでやって」 「…それはいいけど…、はらぺこあお○しのお茶碗じゃやっぱりご飯足りないわよね?違うお茶碗の方がいいかしら?」 「いや、いいってそんなんなんでも」 「じゃあおかわりするように言いなさいよ?」 と、子供サイズのお茶碗をかわいいのに、とマジマジと眺める母さん いや、心配するのそこだけか?と自分の母親ながらなんか力が抜けてしまう 「わかったよ、ちゃんと言っとくから」 と、シバの待つ部屋に戻ると シバはまじまじと部屋の中を見回していた 「何見てんの?」 『お前の部屋、思ったより普通の部屋』 「そりゃそうだろ」 『写真がある』 「高校生の時なー」 『ほそい』 高校生の頃の部活の集合写真だ、 確かにこの頃は今より筋肉少ないから細いよな 「恥ずかしいからあんま見んな、」 と、写真を裏返す 「荷物置いたら下行こ。母さん待ってるから。おしっこ大丈夫か?」 『うん、まだ、大丈夫』 と、シバが荷物を置き 下行こ、と1階のリビングに案内する 「あのなー、シバ」 『なに?』 「お前のお茶碗、小さいやつ用意しちゃったんだって。だから遠慮せずにおかわりしろよって母さんが」 『うん、わかった。おれのお茶碗あるんだ』 「うん、あるぞー」 はらぺこあ○むしだけどな シバをリビングに連れていくと 兄さんと父さんは仕事中のようで 母さんしかいなかった 「景子さんは?」 「検診」 「そっか、」 シバは隣でもじもじしていて 「あー、こいつが今一緒に住んでる」 『しば、いおりです、』 と、ぺこり、と控えめに挨拶をする 「一応今うちの会社で雇ってる、」 「そうなの。いくつなの?」 『20さいです』 「あら、じゃあお酒は飲めるのね」 「いや、そんな飲めねえから」 『えっと、はい』 「シバ、お茶飲む?どら焼き食っていいよ」 と、シバの前にどら焼きを置く 『えっとくう、』 と、緊張しきっていて 苦笑いしてしまう 「シバくんっていうの?車疲れたでしょ?ゆっくりしてってね」 と、母親の言葉に頷く 「シバ、それ食ったらちょっと散歩しに行こうか」 『さんぽ?』 「うん」 『いく』 と、シバがどら焼きを食い終わったタイミングで出かけようと 財布だけポケットに突っ込む 「出かけるならこれお父さんに届けてくれる?」 と、母親に呼ばれて 「シバ、靴履いて待っててな」 シバを玄関に残して1度キッチンに向かう 「これ」 と、渡されたのは 飲み物で まぁ、店の方を見てこいと言うことだろう 「あの子大人しいわね」 「あー、緊張してんだよ。人見知りだから」 「緊張なんてしなくていいのに」 「そのうちなれるだろ。行ってくる」 と、玄関で待ってるシバに合流する 「シバおまたせー」 『うん』 「店の方行ってこいって」 『店?豆腐屋さん?』 「うん、シバ豆乳とか飲める?」 『飲んだことない』 「へえ、ちょっと飲んでみたら」 行こー、と歩るきだすとシバはおずおずと着いてきて 俺の腕を掴む 『お店、近く?』 「おお、近いぞー5分くらい」 『へええ、』 なんだかんだこっち1年以上帰ってなかったな、と懐かしく思う まぁなんも変わってないし そこそこ田舎というかそこそこ都会の街並み 『ちっさい頃からここ住んでたの?』 「ああ、そうだなー」 『へええ、』 「あっちの公園がよく遊んでたところで商店街の方行くと昔よく行ってたパン屋もある」 『へええ、パン屋さん』 「後で行こうなー」 と、いうとシバは頷いて 店までの道を案内する 「ほら、あそこが店」 と、小さな店の前で と、店の戸をガラガラと開けると すぐに兄貴と父さんが顔を出す 「おお、帰ってきたのか」 「おー、これ母さんから」 と、飲み物を渡す シバは後ろでぺこり、と頭を下げるから 背中を押して前に出してやる 「奥で豆腐切ってんのが兄さんでこっちが父さんな」 『えっと……しば、いおりです』 「あれ?これが母さんが言ってた預かってる子供か?随分でかい子だな」 と、豆腐を切るのを止め兄貴がドスドスとこちらに出てきて 「なぁ、母さんの言い方だと小さい子供かと思ってたが」 と、兄貴に続き父さんまでシバの事をじろじろ見るからシバは少し引き気味になっていた 「母さんの勘違いだから。だいたいなんで俺がそんな小さな子供預かるんだよ。うちの会社の子。まぁ分かりやすくいえば下宿させてんの」 「なるほどねー。なんかすっげえキレイな顔してんね、この子」 「まぁ…そうだな」 まぁ、一緒に住んでるから忘れていたが 確かにシバの顔はかなり整ってるからな 「えー、なんて言ったか?名前」 『しば、いおりです』 と、シバはこっちにきてから自分の名前しか言ってないんじゃないかってぐらい どうにか自己紹介をする 「俺はシバって呼んでるけど」 「そう。シバくん。豆乳飲める?」 『のんだことないです、』 と、ここに来るまでに俺がした質問をされ 物珍しいのか 父さんも兄貴もじろじろとシバを見て 早く豆乳豆乳と、コップに注ぎシバに渡す 「大豆のアレルギーとかない?」 『ない、』 「じゃあ飲んでみな。こいつは貧弱だから飲めねえけど」 と、兄貴は俺の事を見ながら笑う 「貧弱じゃなくて体質だから仕方ねえだろ。俺も火通したら大丈夫程度だし」 と、横でシバはくぴ、と豆乳を飲む 『とうふのあじするー、うまい』 「美味いだろ?ココアとかにしてもおいしいから夜とかも飲んでみな。持って帰ってやるから」 『ありがとうございます』 と、ぺこり、と頭を下げるシバ 兄貴はそんなシバの頭をわしゃわしゃと撫でている おお、予想より完全に子供扱いだな まぁ3つ上の兄貴からしたら20そこそこのシバなんてまだガキか シバも何となく兄貴相手だと話せるようで 兄貴の話をうんうん、と聞いていた 「シバくん、豆腐も持ってかえんなー。母さんに味噌汁とかにしてもらって夕飯食べよ」 『はい、』 と、シバは渡された豆腐を嬉しそうに受け取る 「よし、そろそろ行くか」 と、シバから豆腐を受け取って そろそろ帰ろうと、家の方に向かうことにする 「ちっせえ店だろ」 『豆乳、うまかった』 「そっか、よかったな」 『うん。あと、おまえ』 「なに?」 『お兄さん、似てんね』 「そうか?…まぁ、昔はそんな似てなかったけどやっぱり歳を重ねるごとに似てきてるかもな」 『うん、似てた』 だからあんな兄貴に話しやすそうにしてたのか? シバは歩きながらふぁあ、と大きな欠伸をした よく考えたら車で移動中もシバ殆ど寝てなかったな、いつもより早起きしたのに この後ちょっと寄り道しようと思ってたがまた後でだな 「シバ、帰ったらちょっと昼寝しようか、疲れただろ、今日」 『うん、お昼寝する』 とりあえず母さんに布団出してもらって 昼寝しよ。俺も疲れた

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