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第151話
親父と兄貴も帰ってきていて
食卓に着くと
枝豆とひじきの炊き込みご飯
アオサの味噌汁(俺以外のは豆腐入り)
唐揚げにサラダ
と、見事にリクエストしたメニューで
シバの前にはかわいい小さなはら○こあおむしのお茶碗と、お揃いのスプーンとフォークと箸のセットが並べられていた
「あ、シバくん小さなお箸じゃ食べにくいかしら?」
『大丈夫です、フォークあるし』
と、小さなフォークをケースから出したシバ
いや、さすがに子供用だから小さいだろ
『おれちっさいフォーク好きだし』
と、シバも気を使ったのか謎のフォローをして
いただきます、とご飯を食べ始めた
シバお箸使わないでフォーク使ってるから子供みたいだし
じ、とシバの視線を感じて
「なに?どうした?」
と、聞くと
『うまい?』
と、首を傾げて聞いてくる
「うん、うまいよ」
と、いうとシバもすぐにご飯を食べ始めた
「あら、珍しい」
「何が?」
「あんた滅多に美味しいとか言わないじゃない」
「そうか?」
「今日のご飯はシバくんも手伝ってくれたのよー、ねー?」
と、母さんがシバにいうとシバはこくん、と頷く
「客人に何をさせてるんだ」
と、父さんは少し呆れていたが
『おとうふ、おいしいです』
と、シバは味噌汁を飲んでちゃんと父さんにも言う
父さんも満更でもないようで
顔が緩んでいた
なんだ、その珍しい表情
そしてシバもなんかかわいいな、
「ほら、シバくん。唐揚げ食べな」
と、兄さんはシバの取り皿に多めに唐揚げを盛る
『は、はい』
「兄さん、シバ自分で取れるから大丈夫だよ」
「遠慮しちゃうかもしれないだろー?」
「シバくん、サラダも食べなきゃだめよー」
と、景子さんまでシバの所にサラダを取り分け出して
みんなシバに構い倒していた
「シバ、唐揚げ食いな」
と、いうと
こくん、と頷いて
フォークに唐揚げを刺して食べる
『……うまあ』
「おいしい?よかったわー」
「ウチだと俺が唐揚げ作らないからなー」
『うん、うまい』
と、シバは嬉しそうに唐揚げを食べる
うちじゃ唐揚げ作らないし
外食だとハンバーグとかばっかり食うからなかなか唐揚げ食う機会ないんだよな、なんだかんだ
「あら、唐揚げしないの?何作ってるの?」
「ええ、カレーとか…鍋とか」
「シバくんは料理しないのか?」
と、無口な父さんまで口を出すから
シバが少し恐縮する
『えっと、おれは、できなくて』
「ええ、作ってあげればいいのに。唐揚げくらい」
いや、母さんからしたら唐揚げくらいかもしれないが揚げ物はレベルが高いというか腰が重い
「シバくんもたまには家で唐揚げ食べたいわよね?」
と、母親の質問にシバは俺の事をちらりと見る
まぁ、確かにワンパターンかもな…
最近鍋ばっかりだし
冷凍うどんばっかりだし…
『…えっと、はい、……でも、』
「でも?」
と、視線がシバに集まる
『いっつも、作ってくれるの、おいしいから……ジャーマンポテトとか、』
と、シバがいうから
思わず顔を逸らした
うっわあ、
かわいすぎだろ、と顔を覆う
それはずるい、反則だ、と
顔が熱くなった
「ジャーマンポテトって…そんなおつまみみたいな、」
「うっせ、シバが好きだからいいんだよ。な?」
と、聞くとシバはうん、と頷く
「ほら、シバ、ご飯おかわりしな。はらぺこあお○しちっちゃいんだから」
と、シバの茶碗を受け取ると
母さんがすぐにおかわりをよそってくれる
「ごめんなさいね、こんな小さなお茶碗用意しちゃって」
『あ、えっと、おれ、ちっさい頃この絵本好きだったから』
「あら、そうなの!よかったわー、シバくんがはらぺこあおむ○知ってて」
シバ気使ってんのかな…めちゃくちゃかわいいんだけど……
と、シバの可愛さに頭を抱えてしまう
みんながシバに構い倒すからか
シバの人見知りも少し落ち着いていて
ちょっとは固いがそこまで緊張しているようじゃなくて安心する
◇◆
『すげえ食った』
「みんなすげえ食わせるからな、大丈夫?苦しいか?」
『大丈夫』
と、お腹いっぱいで少し眠そうにこたつでうとうとする
「明日はミーちゃん帰ってくるわよー。あとお蕎麦買いに行きましょうねー」
と、腹いっぱいなのに母さんは明日の夜の話をもう始めた
『みーちゃん、』
「妹のミサな」
『うん』
食休みをしながらテレビを見ていたが
お腹いっぱいだったのも落ち着いたのか、
こたつがきもちいいのか眠そうで
もうそろそろ風呂入らせないと寝ちゃいそうだな、と頭を撫でる
「シバ、お風呂入っといで」
『おふろ、』
「そうね!お風呂入っちゃいなさい!使い方分かるかしら?教えてあげなさいよ」
「おお、い…」
一緒に入るか、と言おうとして
さすが実家の風呂は2人で入ると狭いかと気付き使い方だけは教える事にした
『んん、いっしょに入りたい、』
「ええ、せまいだろ、シバ。今日は我慢して1人で入ろ」
と、いうとぐずぐずと少しだけぐずるけど
服を脱がせてやって
シャワーの使い方とかを教えて
身体を流してやると
大人しく1人で入る気になったのか
気持ちよさそうに湯船に浸かる
「寝るなよー、溺れるから」
『わかってる』
と、いかにも寝そうな声でいって少し心配になったが
なんかあったら呼べよ、と残し
リビングに戻る
「シバくん大丈夫そうだった?」
「あぁ、ちょいねむそうだったけど」
「シバくんすごくいい子ねー」
「そうだなー、」
「キレイな顔してるからもっとツンケンしてる子かと思ったけど素直なかわいい子ね」
「そうだなー、」
「うちの子にしたいわ」
「だめだし」
シバはうちの子だ
「みんなシバに構いすぎだろ」
「ついつい構いたくなっちゃうのよあの子。寝る前に豆乳ココア飲ませてあげてってお兄ちゃんが言ってたわよ」
「あー、……うーん、」
「温まるとよく寝れるから飲ませてあげなさい。ちょっとぐらいおねしょしたっていいわよ」
「……まぁなー」
まぁ、そうだけど、
「あ、シバの着替え出してねえや。持ってく」
と、そういえば出してなかった、と
部屋に着替えを取りにいく
どーすっかな、何履かせるかなー
と、おむつとおねしょパンツ
パットを持って脱衣場に向かう
「シーバー」
と、脱衣場の扉を開けると
シバは何?とひょっこりと風呂から顔を出すら
「もう出る?」
『うん』
と、いいタイミングだったらしい
おいで、とタオルを広げて
身体を拭いてやる
「シバ。パンツどうする?」
『えっと、』
と、並べられたおむつとおねしょパンツを交互に見る
『ぱんつにする、おむつはいてんの、おしりもこもこしちゃうから恥ずかしい』
と、もじ、というシバ
「そっか、これは?」
と、パットを見せると
いる、と頷く
「よし、じゃあ今日はパンツで頑張ろうなあ」
と、パットを入れたおねしょパンツを履かせて
すぐにスウェットを着せて隠してやる
「よし、シバ。向こう行こ。兄貴が豆乳ココア入れてくれるって」
『うん』
と、おむつじゃなくてパンツだから恥ずかしくないのか
頷いてシバは大人しく俺の後ろをピッタリとついて歩いた
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