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第157話
陣痛はまだだが
景子さんは念の為に入院する事になり
兄貴は付き添いで病院に行き
母さんも後で病院に向かうらしい
まぁ、とくに問題があった訳では無いようで
念の為、というくらいらしいが
そんなバタバタした状況だと思ってたのに
母さんはあっけらかんとしていた
年越しは病院かしらねーと笑っていた
夕飯はちょっと早めに食うことになった以外とくに普通に過ごす母さん
そして、夕飯のハンバーグは
俺や父さんのは普通にハンバーグと
ご飯が出てきたが
シバとミサの分は
お子様ランチの様にワンプレートに仕上げられ
ハンバーグの横にソテーされた野菜、ポテトサラダ、小さなオムライスがあり、上に旗まで立っていた
「今年最後だから気合い入れちゃったわよー」
「え、なんで私まで?」
「いいじゃない。ミーちゃん久しぶりに家でご飯食べるんだから」
『お子様ランチだ、すげえ、』
と、少し嬉しそうに言い
シバは出されたお子様ランチを食べようと
いつものようにはらぺ〇あおむしの小さいフォークを取り出す
と、それを見たミサは
「なんでシバくんそんなちいさいの使ってるの?」
「お母さんが、間違えて用意しちゃったのよー。そしたらシバくんが使ってくれて」
『フォークもスプーンも箸もあるし、おれはらぺこあお〇し小さい頃読んでたし』
と、またしてもシバは謎のフォローをする
「でもそんなんじゃハンバーグ切れないでしょ?」
「あら、そうね、シバくんもナイフいるわね?」
と、シバも言われて気づいたようで
あ、と言う顔をした
確かに、と切ってやろうとしたが
それより先に
「シバくん貸して」
と、ミサは自分が食べ始める前に
シバのお子様ランチのハンバーグを1口サイズに切りはじめた
なんだかんだで早速あまやかしてるし
『ありがとう、』
「これでその小さいのでも食べれるかな?あ、難しかったら食べさせてあげ、」
『大丈夫、たべれる、ありがとうございます』
と、シバは早速切られたハンバーグを小さいフォークに刺して食べ始める
「え?あ、うん………えっと、お母さんも忙しいんだから世話ばっかり焼いてないでさっさと食べちゃいなよ」
と、ミサはシバのありがとうに動揺して
母さんに逃げると
母さんはハイハイ、といいつつ、
「みんなおかわりあるからね。シバくんも」
と、さっそく世話を焼く母さん
「母さん、まだ食べ始めたばかりだろう。ゆっくり食べさせてあげなさい」
「あら、そうね」
『うまあ、』
「シバ、うまい?」
『うん、うまい。ハンバーグ久しぶりに食った』
「そういやそうかもなー」
最近あんまりファミレス連れて行ってなかったし
こいつハンバーグすきだからなー
俺は作った事ないけど
こんなうまそうにすんなら作ってやるべきか?
いや、ハンバーグは外で食うもんか
「シバくん、ポテトサラダももっと食べるでしょ」
と、ミサはシバのプレートの上にポテトサラダをのせる
なんなんだ、本当にみんな
シバに食わせすぎ!
これ帰るころシバ太るぞ
「ミサ、シバ自分で取れるから」
「男の子ってほっといたら野菜食べないじゃない。シバくんのつるつるの毛穴のためにも」
「大丈夫よ!うちのハンバーグ繋ぎにお豆腐つかってるからふつうのハンバーグよりヘルシーよ?」
『とうふ?』
「そうよ、普通は繋ぎにパン粉とか使うんだけどね、代わりにお豆腐入れてるの。だからたくさん食べて大丈夫よー」
『とうふ?』
あれ?と料理を全くしないシバは
どこに豆腐があるのか分からないようで
あれ?とハンバーグを見る
そして今度は俺の顔とハンバーグを交互に見て
『かゆくないの?』
と、聞いてくる
「うわー、お兄ちゃんの貧弱ばれてるのね」
「貧弱じゃなくて体質」
「豆乳飲めないなんてもったいないじゃない、お肌つるつるになるのに」
うっせえ、とミサを適当に交わし
「火通ってるから平気、量もそんな入ってるわけじゃねえし」
『へえ、』
「ハンバーグの中に混ざってんだよ、豆腐が」
と、説明してやると
『それでふわふわしてんだ』
と、納得した
「あらー!シバくんよくわかってるわね!お父さんもお兄ちゃんもなんにも言ってくれないから!」
と、母さんは言うけど
俺とミサほシバのかわいさに顔を覆った
さすが遺伝子
『えっと、ふわふわでおいしいです』
「ハンバーグもおかわりあるから沢山食べるのよ、シバくん」
『ありがとうございます』
「…あー、なあ、母さん、シバのおかわり俺やるから母さんも早く食って準備したら?病院行くんだろ?」
「そうよ、せっかく私も帰ってきたんだし」
「そう?じゃあお言葉に甘得るわね。シバくん、おかわり欲しかったらお兄ちゃんかみーちゃんに言うのよ」
『あ、はい』
と、母さんもミサもようやく落ち着き
いや、確かにシバキレイな顔してるしそのわりにめちゃくちゃかわいいけど
なんだ?うちの家族みんなシバ可愛がりすぎだろ?
なんなの?遺伝子のせいか?
と、なんだか騒がしく食い終わり
母さんは病院に行くから
父さんが送っていくことになって
俺とシバはこたつに入ってのんびりテレビわ見ていた
「みかん食いたくなってきた」
『おれ持ってこようか?』
と、珍しく事をいうシバ
「なんで?」
『…なんか、みんながおれに食いもんくれるから』
と、甘やかされ過ぎてなんだかお手伝いをしようとしてるらしく
「じゃあお願いしようかな」
と、お願いすると
ちょっと待っててな、とこたつからでて
キッチンの方に向かう
『みかん、』
と、キッチンの方に向かうシバ
キッチンにはミサがいて
話し声が聞こえる
「シバくんどうしたの?」
『みかん取りに』
「みかんね」
『ありがとう、』
「お茶入れるけどシバくんも飲む?」
と、どうやらお茶を入れるためにキッチンにミサはいたらしく
俺もお茶飲みてえな、と
俺もお茶、と大きな声で言おうとした時だ
「お兄ちゃんもお茶飲むか聞いてくれる?」
と、シバが戻ってくることがわかり
もう少しお手伝いしてもらおうとシバを待っていると
キッチンの方からひょっこり顔を出して俺の事を見るシバ
そして
『おにいちゃ、』
と、少し大きな声でいい、
すぐに
はっとして口を塞ぎ
勢いよくシバの顔が赤くなる
「……ぶっ、」
と、俺も思わず吹き出してしまう
『……なぁ…みー、ちゃん、が、おちゃ、のむかって………、』
と、再び口を開き
最後はほぼ消え入りそうな声で言った
「お兄ちゃんもお茶飲むけど?」
と、笑いそうなのを堪えて伝えると
『のむって、』
と、ミサにいい
真っ赤な顔のシバが戻ってきて
投げるようにみかんを渡してくる
「投げんなよ、ほら、おいで、お兄ちゃんの隣に」
と、こたつをめくって言ってやると
『ばかっ』
と、赤い顔のままふくれて
こたつに入る
『……、みーちゃんとか、みんなが、いうから間違えただけだし』
「俺はいいけど?お兄ちゃんでも」
『……おれは弟じゃやだもん』
と、膨れる
あー、怒らせちゃった、と
膨れるシバのほっぺたをつまむ
「シバ怒んなって、ごめんごめん」
と、笑いをこらえて頭をわしゃわしゃ撫で
シバの機嫌をとる
けど、ふいっとそっぽを向いた
「シーバ」
へそを曲げたシバは呼んでも
ふんっと顔を背けるから
「ごめんって、祈織」
と、ちゅ、とおでこにキスをしてやると
じ、と俺の事をみるから
もっとキスをしてやろうかと
少しだけシバに寄った時だ
「お茶入ったわよー」
と、ミサがキッチンから出てきて
いそいでお互い離れた
あっぶね、実家じゃん、ここ
シバが可愛すぎて失念してた
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