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第160話
「シバくん、おはよう。あけましておめでとう」
『おめでとうございます、』
「お節とお雑煮あるから食べなさいねー」
『はい』
と、おせちの並べてある食卓に座る
「そう言えば母さん、病院行かなくていいの?景子さん調子どう?」
「あー、景子さんなら元気よ。赤ちゃんも。男の子よ」
と、あっけらかんという母さん
「ん?」
あれ、なに、
「産まれたの?」
「だから帰ってきてるんじゃない。ほら、お雑煮あっちに持ってって」
と、母さんは言ったけど
「は?言えよ!」
「1月1日生まれなんておめでたいわあ」
と、ほわほわと言うけど
いや、なんていうか
母さんがめでたい気がする
「今日帰るのよね?」
「あぁ、今日帰る」
「そしたらお兄ちゃん達の所もこの後行ってみたら?赤ちゃん小さいわよー」
「あぁ、せっかくだから会いに行こうかな、次いつ来れるかわかんねえし」
とりあえずお節食べよう、と
豪華な料理を箸で取る
「シバも赤ちゃんに会いに行こうなー」
「おもち何個食べる?」
「2つー」
「シバくんは?」
『えっと、じゃあ2つで』
と、雑煮が出てきて
シバは嬉しそうにそれを見る
『赤ちゃん小さいの?』
「らしいなあ。俺もそんなには産まれたばっかりの赤ちゃんとか見た事無いけど」
『へええ、』
シバは末っ子だしより見た事無いだろうな
◇◆
『色々ありがとうございました、ごはん、ぜんぶおいしかったしお茶碗とかもうれしかったです』
「シバくん帰っちゃうのさびしいわあ」
「母さん、俺も帰っちゃうんだけど?」
「あんたも帰っちゃうのね」
「そうだなー、」
「いつもありがとね、助かってるわよ」
「いや、それはまぁ自由にさせてもらってるから」
「またお盆とかいつでもいいけど来なさいよ?もちろんシバくんもね!」
『えっと、おれもきていいの?』
「もちろんよ!みんな待ってるわ!」
『ありがとう、ございます』
と、母さんに挨拶をし
荷物は全部車に詰めて
病院に景子さん達に会いに行ってから
町内会に顔を出して帰る流れにした
そして病院について
病室をノックして中にはいる
「おお、来たか」
「あけましておめでとう、景子さんも、お疲れ様です」
『おめでとうございます、』
「おめでとう、新年早々バタバタさせちゃってごめんなさいね。来てくれてありがとう」
「シバくんも来てくれてありがとうな」
と、病室に入れてもらい
景子さんのいるベッドに近付く
「おお、本当にちっせえな」
『ちっさぁ、』
と、景子さんの腕の中にいる
赤ちゃんを覗き込む
すやすや眠っている赤ちゃんは
目は閉じていて驚く程小さい
大人になってから見ると本当にちっさいんだな、赤ちゃんって
「すげええ、な、シバ?」
『うん、』
と、シバも驚いているようで
ぽかんと、口が開いている
「よかったらお前も抱っこするか?」
「ちっさすぎて怖え」
「シバくんは?」
と、聞かれてもシバは俺の1歩後ろで俺の袖を掴みふるふると首をふる
シバも小さすぎて怖えんだろうな
「名前は?決めたの?」
「虎太郎にしようかなって。寅年だし」
「おお、すっげ、カッコイイじゃん」
「単純だけどいいだろ?1月1日産まれだし、長男だし」
『こたろうくん?』
「あぁ、」
『へええ、いいなあ』
「いい名前だよな」
『男らしくてかっこいい』
「2人とも本当に抱っこしないの?」
「いや、だって」
「せっかくならしてってくれよ。お前次いつ帰ってくるかわかんないし」
と、言われ
確かに、と抱っこさせてもらう事にした
首が座ってないから
首を支え慎重に持つが
「軽すぎて、」
「これからいっぱいミルク飲んで大きくなるからな」
『へええ、』
「次シバくん。抱っこしてあげて」
と、兄さんが虎太郎を俺の腕からシバの腕にうつす
「首が︎︎︎︎座ってないからこうやって支えてあげて」
と、説明され抱っこをするが
シバもやっぱり小さすぎて怖いらしく
固まって動かなくなっていた
『わぁ、あ、ちいさ、だっこのかんかく、ない』
わかる、俺もそうだった
普段抱っこしてんの60キロだし…
ちょっと抱っこをして
すぐに景子さんに虎太郎を返したけど
シバはやっぱり珍しいのか手をつん、とちょっとだけ触る
「手、こうやるとぎゅってするんだよ」
と、兄貴が虎太郎の手をつっつくと
きゅ、と兄貴の指を握る虎太郎
うわあ、すげ、
知ってたけど実際に見ると感動だなやっぱり
と、思った矢先
ふぇ、と虎太郎から小さな声が聞こえたと思うと猫のような小さな泣き声をあげる
シバは驚いたのか
びくっと少し肩を跳ねさせる
「あ、」
「おむつかしら?」
「さっきミルク飲んだばっかりだしな」
と、景子さんは隣の新生児用ベッドに虎太郎を寝せすぐにオムツ替えを始めた
「ああ、やっぱりおむつだ。シバくん、ごめん。びっくりしちゃったな」
『赤ちゃん、よく泣くの?』
「泣くぞー、赤ちゃんはミルクのんでおしめ濡らして泣くのが仕事だから」
『へええ、』
シバも赤ちゃんに興味津々で
名残惜しいが
時間なので挨拶をして
町内会にの方に行くことにした
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